飲酒運転で捕まるとどうなる!? 「酒酔い運転」だと50万円の罰金、懲役刑の可能性が大!

■飲酒運転は「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類あり!

●呼気1リットル中に0.15ミリグラム以上のアルコールが含まれているとアウト!!

 忘年会、新年会のシーズンである。特に年末は飲酒運転の一斉取り締まりがよく報道される。
 警察としては、ハデに報道してもらって運転者たちをびびらせ、飲酒事故の抑止につなげたいという思いがあるのだろう。

飲酒運転のイメージ
※写真はイメージです。TAKA / PIXTA(ピクスタ)

 飲酒運転で捕まるとどうなるのか、ここでしっかりチェックしておこう。
 飲酒運転は、酒気帯び運転と酒酔い運転に分かれる。

●酒気帯び運転…酔っていなくてもイッパツ30万円!

 呼気検査により、呼気1リットル中に0.15ミリグラム以上のアルコールが含まれていると判明したものを「酒気帯び運転」という。
 酔っているかどうかは関係ない。酔っていなくても違反だ。
「飲み会のあと、車の中で少し寝た。もう大丈夫と思って運転した」
 そうして捕まる人がよくいる。二日酔いも、0.15ミリグラムと出れば違反になる。

 酒気帯び運転の罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」。実際の相場は、普通車で初犯だと罰金30万円で決まりのようだ。
 酒気帯び運転をしたうえで物損事故を起こしたりすると、「飲酒運転の危険性を顕在化させた」ということで、罰金ですまず懲役刑とされることがある。
 初犯なら普通は執行猶予がつくが、執行猶予つきでも懲役刑は懲役刑。懲役刑を受けると、公務員や医師や不動産業者などは資格を失うことになりかねない。

 違反点数は、検査値が0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満だと13点。通常、イッパツで90日免停の基準に達する。免許取り消しの基準は通常15点。累積点数がすでに2点あればアウトだ。
 そして、検査値が0.25ミリグラム以上は25点。アウトもアウト、イッパツで欠格2年の免許取り消し処分の基準に達する。大変だ!

 ちなみに2018年の酒気帯びの取り締まり件数は、0.25ミリグラム未満が7308件。0.25ミリグラム以上は1万8735件となっている。

●酒酔い運転…「言語状況」などで認定する

「酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう)」(道路交通法第117条の2第1項) ※法律は「っ」を「つ」と表記する。

 これが酒酔い運転の定義だ。呼気検査の結果は特に関係ない。
 酒に酔った状態かどうかは「酒酔い・酒気帯び鑑識カード」を使って警察官がチェックする。
 以下の画像は、1970年に発出された警察庁の通達にあるものだ。現在は「化学判定」つまり呼気検査に使う装置が新型になっていたり、チェック項目が簡素化されたりしているが、まぁおおむね同じだ。
 ちなみにこのカード、飲酒運転だけでなく、酔って起こした一般犯罪の事件でも用いられる。 

鑑識カード
酒酔い・酒気帯び鑑識カード

 たとえば「言語状況」について、「普通 大声 くどい しどろもどろ 悪口 雑言 泣声 しゃべれない 沈黙」のうち該当するものに○印をつけるようになっている。
 そんな酔っ払いたちを警察官はいつも相手にしているわけだ。ご苦労様ですと申し上げたい。

 酒酔い運転の罰則は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」だ。実際の相場については、情報が少なくてよくは分からない。が、普通車の初犯で罰金50万円かと思われる。
 もちろん、酒気帯び運転よりずっと懲役刑にされやすい。
 違反点数はなんと35点。イッパツで欠格3年の免許取り消し処分の基準に達する。

●本当は怖いアルコール、マジでご注意を!

 刑罰も行政処分も重すぎる?
 いやいや、飲酒運転は注意が散漫になりやすい。ハンドルやブレーキを的確に操作しにくくなる。仕事帰りの夜に飲酒すれば居眠りもしやすくなる。要するに事故を起こす可能性が確実に高くなるのだ。
 そして、失われた命は戻らない。健康も戻らない場合がある。死亡事故の人数ばかりがカウントされるが、重い後遺障害を一生背負うことになった人もいる。
 飲酒運転のせいで家族の命を奪われた人、健康を奪われた人からすれば、どんな刑罰も処分も軽すぎるだろう。
 飲んだら乗るな、乗るなら飲むな! 昔の標語をかみしめたい。

飲酒運転のイメージ
「飲んだら乗るな、乗るなら飲むな」はどんな時も心に刻んでおきたい。

 あと、もうひとつ。
 私は裁判傍聴マニアでもある。酔っ払ってやらかした「傷害」や「強制わいせつ」等々も多く傍聴してきた。
 酒は脳に効く。前頭葉が麻痺して衝動の抑制機能が失われ、とんでもないことをやらかして刑事裁判の被告人になる人がよくいる。そういう人は法廷ではしゅーんとして声が小さい。後悔で一杯なのだ。
 しかし「酔っ払って憶えてないので許してください」はとおらない。実刑判決をうなだれて聞き、刑務所へ落ちていく。
 いわゆる「酒乱」ぎみの方はマジでご注意を。

(今井亮一)

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