■月間目標台数は、先代よりも1000台プラスの6000台
2代目スズキ・ハスラーが2019年のクリスマスイブに発表されました。スズキは年末に新型車を発表、初売りから受注獲得を猛烈に仕掛けることで知られています。
6年前の2013年12月24日に発表された初代ハスラーは、2019年12月末時点で累計48万台を売上げ、月間販売台数は目標だった5000台をモデルライフを通じてクリア。
一見、キープコンセプトに見える2代目ハスラーですが、先進安全装備の充実化や高剛性化が図られたボディ、最新のプラットフォームなどにより大幅に商品力をアップ。価格は「G」グレードで、先代と比べると1万7000円高となるそうですが、先進安全装備などを考えるとかなり頑張った値付けといえそうです。
スズキの鈴木俊宏社長は、ライバルのダイハツが2020年年央に「TAFT(タフト)コンセプト」の市販モデルを投入したことに触れ、ライバルと切磋琢磨して軽クロスオーバーという市場の拡大を図りたいとしています(ただし、乱売にならないように、という注釈付で)。新型スズキ・ハスラーは月間目標台数6000台を掲げ、鈴木俊宏社長は、必達目標としています。
では、新型スズキ・ハスラーは、先代からどれくらい進化しているのでしょうか? ここでは、内・外装デザインは触れずに、ほかのメニューについてご紹介していきます。
■新開発エンジン「R06D」の熱効率は37%
まずは、心臓部のエンジン。新開発の「R06D」NAエンジンは、担当エンジニアによると熱効率37%だそうで、スズキ軽初のデュアルインジェクションとクールドEGRをはじめ、急速燃焼、高圧縮比化(12.0)などが盛り込まれています。コストがよりシビアな軽ですが、かなりお金が掛けられています。
ターボエンジンは、NAの改良点に加えて、ターボ過給により長距離移動に向くゆとりの動力性能を確保。なお、NAエンジンは49PS、ターボは自主規制値いっぱいの64PS、最大トルクはNAが58Nm、ターボが98Nmとなっています。
さらに、スズキ初の2ポートオイルポンプ、高効率ベルト、トルクコンバーター低剛性ダンパー、軽量化が図られた新開発CVTが組み合わされています。加えて、全車にマイルドハイブリッドが搭載されています。
マイルドハイブリッドを構成するISGは従来の1.6kWからNAが1.9kW、ターボが2.3kWに高出力化されていて、ターボ車は最大トルクも40Nmから50Nmに増強されています。なお、リチウムイオン電池は3Ahと先代と同じ。
これにより、とくにターボモデルは出だしから力強い走りが可能なはずで、荷物を満載してキャンプなどに出かけても頼もしい走りが容易に引き出せるはずです。また、ターボモデルには、ISGのモーターアシストをトルクアップさせたことで、力強い走りをボタン1つで可能に知るパワーモード(スイッチ)がステアリングに配置されています。
ボディの高剛性化もトピックス。環状骨格構造により全方位ボディの高剛性化を図る共に、生産ラインの追加で構造用接着剤を採油尾。センターピラー上部や下部、フェンダーなどにウエルドボンドを使うことで、わずかな隙間を埋めています。これにより、操縦安定性の向上、乗り心地の改善が図られているそう。
さらに、ルーフパネルとメンバー接合に高減衰マスチックシーラーを採用。ボールを同時に落とすと、高減衰マスチックシーラーの方はほとんどバウンドせずにピタリと収まります。これにより、こもり音やルーフを叩く雨音などを低減させられるそう。
4WD性能では、スノーモードの初採用やグリップコントロール、ヒルディセントコントロールなどが採用されていて、雪上や悪路などの走破性を向上。
ドライバーサポート系も充実していて、スズキ軽初のアダプティブクルーズコントロール(停車後2秒以内なら再発進する)、ステアリング操作を促す車線逸脱抑制機能を用意。いずれもターボ仕様に用意されています。
前後席ともに少し高めの着座位置になるキャビンは、広々しています。頭上まわりの余裕に加えて、後席はシート側からも荷室側からもスライドが可能で、身長171cmの筆者が運転姿勢を決めて後席に座ると、スライド最後端で足をゆったり伸ばせるほどの広さがあります。もちろん後席はフラットに拡大可能で、荷室やシート背面は防汚タイプになっていますので、アウトドアなどで重宝しそう。
なお、新型スズキ・ハスラーの価格帯は136万5100円〜174万6800円です。
(文/写真 塚田勝弘)