●20代のすべてを過ごしたサーキットとお世話になった大好きなチームは自分のホーム
とかく男の世界と思われがちなモータースポーツの世界。ところが最近は競女カップやWシリーズなど、ドライバーを女性限定にしたカテゴリも発足するなど、モータースポーツに関わる女性も増えてきました。
そんなモータースポーツの中でも、ドライバーとしてではなく、あくまで主役を支えるかたちでモータースポーツに関わっている女性たちは、一体どんなところにモータースポーツの魅力を感じているのでしょう?そんなちょっとした疑問を、実際にモータースポーツの現場にいる女性に聞いてみようというこの企画。
今回はレースクイーン大賞2014でclicccar賞を受賞、その後エアレースクイーン大賞グランプリやレースクイーン・オブ・ザ・イヤー2017-18も受賞し、昨年惜しまれつつ引退した元トップレースクイーンの西村いちかさんにお話を伺いました。
──まずは西村さんの経歴を教えて下さい
「よろしくお願いします。私は2012年〜2018年にSaRDのイメージガール・LEXUS TEAM SaRD KOBELCO GIRLSを務めました。GTでは今回もお世話になっているサードさん一筋です! スーパーフォーミュラではLenovo TEAM IMPUL LENOVO GIRLSやKONDO Racing raffinee Lady、スーパー耐久ではTWSプリンセス、GTNET GIRLSなどを務めさせていただきました。
去年レースクイーンを引退した後はGAORAで冠番組を持たせていただいて(毎週日曜放送中)、ありがたいことにそちらも好評で東京MXやテレビ和歌山、三重テレビ放送でも放送されています。
他にもモデルのお仕事や最近は喋るお仕事も徐々に増えてきています。」
──喋る仕事ですか?
「はい、声が落ち着いていて良いねと言われたのがきっかけで、ニュースサイトなどの名前が出ないお仕事や、自分がメインじゃなくインタビュアーとして活動しています。
また、今年はサードさんのシーズンエンドパーティーで司会もやります。(注:今年は開催済み)」
──引退後も幅広く活躍されているようでなによりです。ところでレースクイーンになったきっかけって何だったんですか?
「レースクイーンになる前は撮影会モデルなどをしていて、そのお仕事経由でそれまであまり知らなかったレースクイーンやイベントコンパニオンっていう物の存在を知ったんですね。それで『何だそれは!やってみたい!』と思ったのが最初のきっかけです。
でも最初の頃はイベントコンパニオンのお仕事すらなかなか受からなくて、全然難しいしどうしようって思ったんですが、結構わたし負けず嫌いだったみたいで、どうにか頑張ってお仕事をいただけるようになりました。
そうして少しずつ応援してくださる方が出てきて、その人達が胸を張って「この子のファンだ」って言えるような存在になりたいと思って、美しい人達の中でおこがましいと思いながらも貪欲に頑張ろうと思ってやってきました。
それでいざレースクイーンをやろうと思った時に、ファンの方から『(エントリー台数の多い)GT300なら受かりやすいんじゃない?』って言われて、その時はGT300って何?って思って後から聞いたら、スーパーGTにはGT300クラスとGT500クラスがあって、やっぱり花形はトップカテゴリーのGT500だよって。
それを聞いたらなんだかまた負けず嫌いが出てきたと言うかメラメラしちゃって『あたし、GT500でレースクイーンやりたい!』って俄然やる気になっちゃったんです。それで運良くGTレースクイーン1年目からGT500のサードさんに採用してもらうことができました。」
──なるほど。見た目によらずかなりの負けず嫌いみたいですね(笑)でもそんな性格と応援してくれるファンの方々への想いが、GT500で7年間レースクイーンをやってこられた原動力になったようですね。クルマにはその頃から興味はあったんでしょうか?
「クルマの事も最初はあまりよく知らなくて、道で車種当てゲームとかしても10台中3台当たるかなくらいの知識だったので、今こうしてクルマ業界に携わっていられる事が自分では不思議な感覚です。なのでクルマに詳しい人とかカッコいいなって思います。私は車の免許もタイミングを逃しちゃって今も持っていないんですけど、今後の仕事のためにも取りたいなって思っています。」
──クルマ、特にメカニズムとかに詳しい人は男から見てもカッコいいと思います。そして免許、早く取れるといいですね。それで実際にレースクイーンになってみてどんな事を感じましたか?
「レースクイーンの存在を知った時も飯島直子さんとかのイメージが強くて、最初は『そういう世界がまだあったんだ』くらいの認識でした。ところが実際仕事でサーキットに来てみたら、みんな凄く可愛いコスチュームとか着ていて、自分のイメージしていたレースクイーンとは全然違う感じでした。
その後、スーパーGTの事を知って(ネットとかで)GTのレースクイーンの写真とか見たら可愛いコスチュームとかめちゃめちゃいっぱいあって、スーパーGTって凄いんだなって思いましたし、コスチュームだけじゃなくてレースそのものも自分の目で見てみたいと思うようになりました。
そして、だからこそそれを見に来るファンの人の目も肥えてるんだろうし、そういうファンの方に見てもらいたいと本気で思うようになりました。」
──そんなスーパーGTのレースクイーンを長年やってこられたのは、レースクイーンという仕事を通じてモータースポーツに魅力を感じたからだと思いますが、一体どんなところが魅力的だと思いますか?
「まだ免許も持っていないんですけど、なかなか自分の運転って想像したら怖いなって(笑)でもレースを見ていると、速く速く!頑張れ頑張れ!って気持ちになるんです。
そしてそうやって周りにも応援している人たちがいると、その感情が伝わってくるじゃないですか。なんかそういう感情って自分一人でいたら生まれてこないものなので、見ていると凄く自分も一緒にアツくなれて、そういう人達の中にいられるのって凄い素晴らしいことなんじゃないかなって思っています。
それと、わたしは(最初は)プライベートでレースを好きになったわけではなくて、完全に仕事としてレースクイーンをやり始めて、気づいたら20代すべてをサーキットで過ごしたので、そういう事もあってサーキットに帰ってくるとホームっていう感じがします。
そしてサードさんはチームの皆さんがとても温かくて、レースクイーンを引退してホスピタリティとかそういう面ではなんの特技もないし役に立てないはずの私(笑)に、『みんな(いちかるに)来てほしいって思ってるから(お手伝いを)お願いしたい』って言ってくれて、そういうのって凄くありがたいじゃないですか。だからわたしも『そうやって言ってもらえるんだったら、が、頑張らなきゃ!』って思ってこうしてサーキットに帰ってきています。」
──確かにスポーツって、一人で応援するのも悪くないですけど、大勢で応援したほうが盛り上がりますよね!それでは最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします
レースクイーンをやっていた時は毎回毎回会っていたから、急に来なくなるの?えっ?みたいな感じになっている人もいると思うので、こうしてこれからも、たまにはサーキットに帰ってきたいと思います。
それと、どんどん若い新人さんが出てきて、何だこのオバサンとか思われるかもしれないんですけど(笑)でも、年齢なんて気にせずにいようって昨日から(笑)心がけているので、皆さんも年齢を気にせずにこれからも応援してくれたら嬉しいです。それと、もちろんチームの応援もよろしくお願いします!」
レースやレースクイーンの事を知らなかった一人の女性が、終わってみたら20代のすべてをサーキットで過ごす、そこにはやはり人を惹きつける魅力があったんだろうと改めて思える、そして予想通り笑いの絶えないインタビューとなりました。レースを観に来たことがないあなたも、来年はぜひサーキットデビューしてみてはいかがでしょうか?
それではまた来年もお楽しみに!
(H@ty)