さらばEJ20エンジン! インプレッサWRXの中古に乗るなら今だ!!【気になる中古スポーツカー・バイヤーズガイド】

■いよいよEJ20が生産終了! EJ20搭載のインプレッサはもう中古でしか乗れない

●相場が落ち始めたGD系、下げ止まったGR系は今が買い時か!?

先日の東京モーターショー2019で、スバルから衝撃的な発表がされました。1989年に発売された初代レガシィに搭載されて以来、長くスバルの高性能エンジンを代表してきた水平対向4気筒ターボ、EJ20型が生産を終了するとアナウンスされたのです。

EJ20は、レガシィだけでなくインプレッサおよびWRX、さらにはフォレスターやエクシーガにも採用された名エンジンです。当初は220psの最高出力でしたが、国内自主規制値である280psに発展し、最終的には308psにまで到達しています。そんな2リッターエンジンとして世界最高峰に位置する名機が、ついに生産を終了してしまうのです。

EJ20が生産終了されるとあって、EJ20搭載の最終モデル「WRX STI EJ20ファイナルエディション」が555台限定販売されました。もう手に入らないとなると欲しくなるのが人情です。優先購入権の申し込みには多くの方が応募されたようです。

そして、EJ20を積む代名詞でもあったのがインプレッサWRX。すでに中古でしか手に入らないモデルですが、これから人気が急上昇して中古車相場が激変する可能性があります。

そこで歴代インプレッサWRXを得意としている中古車ショップに、現状での中古車相場と今後の動向がどう推移すると考えているのか聞いてみました。お伺いしたのは、関東・近畿地方を中心に、北海道から九州まで店舗を構えるスポーツカー専門店のGTNETさん。関東でインプレッサの在庫が有数規模である「GTNET埼玉」の川本雄一店長を直撃してみました。

ショップ外観
お話を聞いたのはスポーツカーを専門に全国展開しているGTNETのGTNET埼玉さん。国産スポーツ全般を常時在庫していて歴代インプレッサも揃っています。
整備工場
GTNET埼玉さんには整備工場が併設されています。通常のメンテナンスやモディファイのほか、エンジンのオーバーホールなど重整備にも対応しています。
川本店長
お話を聞いたのはGTNET埼玉の川本雄一店長。車種を問わず国産スポーツカーの知識や取扱経験が豊富です。インプレッサにも精通しているスペシャリストです。

●初代「GC8」の流通量は少ないがクーペの人気が急上昇中

「インプレッサWRXの初代GC8に関しては、圧倒的に流通量が減っています。今は、1年前の半分以下まで減ったというのが実感です。ですが、以前は過走行だったり、外装や内装の状態が非常に悪かったりする粗悪車が7割くらいありました。今はそれがなくなり、残り3割の状態が良いものだけが流通しているような状態です」

GC8
1992年に発売された初代インプレッサセダンWRXであるGC8型。当初は4ドアセダンのみ。

年式が古くなるに従い、程度の悪いクルマが淘汰されてきたのでしょう。GC8は発売が開始されてから27年が経っています。最終年式でも19年落ちです。これくらい古くなると、さすがにそのままで安心して乗れるコンディションの車両は限られてしまいます。

また、名機EJ20もGC8時代はクランクメタルが弱く、扱い方によっては焼きついてしまうことがあります。川本店長も「過去に何台かエンジンをオーバーホールしています」というくらい、メジャーなトラブルです。そんな初代GC8が今後、相場を上げることがあるのでしょうか。
「ここ1年くらいでしょうか、GC8クーペの人気が急激に高まっています。それもタイプR限定です。タイプRAだと100万円以内から選べますが、タイプRは150万円から200万円で推移してます」。

クーペWRXタイプR STi
1996年に追加発売された初代インプレッサのクーペWRXタイプR STi。

ただし、この現象は限定的なもののようです。「インプレッサWRXはその後もシリーズが続いていますから、GC8より涙目のGDBが、それよりも壊れないGRBが良いとなるのではないでしょうか」と川本店長は、一時的な傾向と考えているそうです。

そもそも新車販売台数が少ないGC8クーペですので、希少価値が出てきたとも言えます。とはいえ、これは年数が経って数が少なくなってきただけのことかもしれません。川本店長も「22Bなどの特殊なクルマ以外は、今後急激に相場が上がるとは思えません」とのことです。

現在の相場はWRX STiで50万円から100万円の間で推移しています。高いものでも130万円ほどで、タイプRだけが150万円以上となっています。

この記事の著者

増田満 近影

増田満

複数の自動車雑誌編集部を転々とした末、ノスタルジックヒーロー編集部で落ち着き旧車の世界にどっぷり浸かる。青春時代を過ごした1980年代への郷愁から80年代車専門誌も立ち上げ、ノスヒロは編集長まで務めたものの会社に馴染めず独立。
国産旧型車や古いバイクなどの情報を、雑誌やインターネットを通じて発信している。仕事だけでなく趣味でも古い車とバイクに触れる毎日で、車庫に籠り部品を磨いたり組み直していることに至福を感じている。
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