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●2代目「GD」系は高値安定だがGDBに異変あり!?
2代目のGD系はどうでしょう。世界ラリー選手権WRCでチャンピオンを獲得した最後の世代ですので世界中にファンが多く、中古車相場も高値安定に思えます。「この2、3カ月のことですが、GDBは相場が落ち始めました」と衝撃的な事実を教えてくれました。
「年式的な問題で欲しいけれど壊れそうだからGRBにしようか、というお客さんが増えてきたように思います」。やはり古くなればトラブルの可能性が高まります。これが相場に反映され始めたのでしょう。実際GTNETさんの在庫でも200万円を超えるGDBは少なく、ほとんどが150万円以内になっています。
現在の相場では、前期の丸目が50万円から130万円まで。中期の涙目では80万円から170万円くらいの間にあります。これはマイナーチェンジした後の鷹目になっても同様で、20万円ほど相場が上になる程度。どうやら買いやすい状況が続きそうです。
●3代目「GRB」の相場は下げ止まり。狙い目はATモデル
3代目のGRBではどうでしょう。「しばらく相場を下げ続けてきたGR系ですが、ここにきて相場が安定しました。200万円を切っているのは変わりありませんが、下げ止まった状況です」。おそらくGDBでは年式的に不安を覚える人がGRBに流れた結果、下がり続けた相場を押し留めたようです。
それを裏付けるように、ATモデルのGRFは人気が急激に落ちています。「MTモデルに比べてATモデルの相場は少し下にあり、平行線的に下がっていました。ところが、今は極端にATモデルの相場が下がりました。ATのGRFなら100万円を切っていますので、お買い得です」というのです。やはりスポーツカーはセカンドカー的な扱いが多く、趣味のクルマにはMTで乗りたいと考える人が増えてきたのでしょう。
100万円以内まで相場を下げたATのGRF。MTのGRBでも120万円、130万円くらいの売り物が多いのが現状です。中には200万円を超えるものもありますが、数は少なくなったようです。
今回の取材でお話を聞いていて感じたのが、インプレッサWRXに乗る層が変わってきたということです。川本店長も「以前ならマニアックなメンテナンスを希望されるお客様が多かったのですが、最近では油脂類を交換するだけで普通に乗りたいというお客様ばかりになりました」と証言しています。
走りに振ったカスタムやメンテナンスをして性能を堪能するのが過去の乗り方だとすれば、今は普通のクルマと同じように扱いつつ、時にスポーツカーらしい走りを味わうスタイルへと変化したようです。客層はスポーツカーを諦めたくない中高年層から20代の独身男性まで幅広いのですが、この傾向はいずれの世代にも共通しています。
●GC8はマフラーのサビ、GDBはアッパーマウントに注意
では、各世代のインプレッサをこれから購入する場合は、どのような点に注意すればいいのでしょうか。川本店長は「GC8以降の世代であれば、それほど気にしなくても大丈夫です。弊社では15万キロ以上走行しているクルマは扱わないようにしていますので、トラブル続きになるようなことはありません。ただ、GC8ではボディのサビに注意してください。特にマフラーは錆びやすい部分です」とのことです。GDB以降でしたら、このような心配は少なくて済みます。
「GC8ですとトランクに雨水が溜まってしまうクルマもあります。ウエザーストリップの消耗が原因ですが、これによりサビを誘発してしまいます。内装ではセンターと助手席前の小物入れがメーカー欠品です。ここが痛んでいると新品部品で修理できないことがありますので注意していただきたいポイントです」。年式の古いモデルでは内装や外装の補修部品供給を打ち切る場合があります。
GDBではどうでしょう。「リヤサスペンションのアッパーマウント付近からコキコキと音が出るケースがあります。部品交換しても音が消えないことがありますので、ボディ側の問題かもしれません」。ここが一番多いトラブルで、解決が難しいポイントでもあります。涙目や鷹目ではラジエターのパンクも多いのですが、「すでに交換されているクルマがほとんどです」ということで、それほど神経質にならなくても大丈夫のようです。ですのでGRB以降になると、トラブルの心配はほぼいらないということです。
最後に、インプレッサWRXの今後の相場がどう推移するか聞いてみました。「来年、東京オリンピックが開催されるので数多くの外国人観光客が来日されます。そのついでに、日本のスポーツカーが好きな外国人は中古車を見て回ると思うのです。実際、今までも当店には外国人観光客が来店されています。そうなったとき、どうなるかがポイントになりそうですね」と、川本店長。やはり海外からの引き合いが相場に与える影響は少なくないようです。
「アメリカで25年縛りがあるというのは有名ですが、カナダでは15年以上経過していれば新車販売していなかった外国のクルマが登録できます。だからカナダで登録して乗られる方もいらっしゃいますし、東南アジアでもインプレッサなど国産車はすごい人気です」。海外のファンの間では、2代目GD系の人気が高いようです。
さて結論ですが、EJ20の生産終了と合わせて、今後相場がどのように動くかは未知数です。ただ、相場が落ち始めたGD系、下げ止まったGR系は今が買い時、と言えるのではないでしょうか。