■ディーゼルエンジン仕様は登り坂でも力強い加速が可能
試乗車の2.0Lガソリンはセダンモデルで、6AT/2WDの組み合わせ。156ps/6000rpm、199Nm/4000rpm。WLTCモード燃費は15.6km/L。車両重量は1360kg。
なお、ガソリン仕様は1.5Lも用意されていて、パワー/トルクは、2.0Lの方が45ps/53Nm上回っています。ガソリン仕様らしい高速域の伸びやかな加速に加えて、1360kgの車両重量に2.0Lという排気量ですから、走り出しから十分なトルク感があります。モーターアシストも加わる「SKYACTIV-X」ほどではないですが、比較的全域にわたってスムーズな走りを引き出せます。
1.8Lディーゼルの「SKYACTIV-D」はファストバック、6AT/4WD仕様でした。1470kgという車両重量はディーゼルエンジン+4WDの組み合わせなので、若干重めですが、116ps/4000rpm、270Nm/1600-2600rpmというエンジンスペックからも分かるように、とくに中・低速域のトルク感が厚く、ディーゼルらしい力感ある走りが魅力です。
また、乗り心地も重い分だけ比較的良好で、山道では若干フロントノーズの重さを抱かせるものの、高速道路を巡航するようなシーンではその真価を発揮してくれそう。ロングドライブが多く、年間走行距離も長い方は迷わず指名したいところ。なお、WLTCモード燃費は18.8km/L(2WD)〜19.8km/L。
「SKYACTIV-X」は、ATとMTに試乗する機会があり、走り出しから高速域までアクセル操作に対してのレスポンスが良好で、スムーズさでは最も上。とくにMT仕様は、MTそのものの進化もあり、非常に楽しめます。ファストバックのWLTCモード燃費は、16.2km/L〜17.4km/L。ディーゼルエンジンには燃費では及ばないものの、当然ながら2.0Lガソリン仕様よりも燃費は上。なお、マツダが伊豆スカイラインで燃費を計測したところ、十国峠〜宇佐美〜十国峠で「SKYACTIV-X」(AT/2WD。215/45R18タイヤ)は18.2km/L、2.0Lガソリン仕様(AT/2WD)は15.1km/Lだったそう。MT仕様(215/45R18タイヤ)は「SKYACTIV-X」が18.3km/L、2.0Lガソリン仕様(AT/2WD)は15.5km/L。
激しいアップダウンが続く山岳路で「SKYACTIV-X」の18km/L台という燃費は上々で、郊外路や高速道路ではもう少し延びるのではないでしょうか。
マツダでは、1.5L、2.0Lガソリン仕様を街中中心の使い方をするユーザーに、1.8Lディーゼル仕様は長距離走行が多い人向けに、そして「SKYACTIV-X」は、走りを楽しみたい人に推奨しています。冒頭で紹介した価格差があっても「SKYACTIV-X」は、クルマ好きの注目を集めたり、「新しモノ好き」などの一定数の支持は得られたりしそうですが、どれだけの販売シェアになるのか気になるところです。
(文/塚田勝弘 写真/長野達郎、塚田勝弘)