●一新された乗り心地は「可能な限り」手を入れた成果
2015年10月にフルモデルチェンジを受けたレクサスRXは、2017年12月に一部改良を実施し、3列シートのRX450hLを追加しています。
登場から4年近く経った2019年8月下旬から発売された現行レクサスRXのマイナーチェンジモデルでは、前後バンパーのデザイン変更やL字モチーフのブロックメッシュパターンのスピンドルグリルなど、外観をよりアグレッシブに変身しています。さらにヘッドライトは、LS・ES同様にインライン3眼式を採用、NXとの差別化が図られています。リヤコンビランプもL字モチーフの新意匠に変更。
内装では、ナビのタッチディスプレイ化やUSBソケットの増設、スマートフォン収納場所の追加、タッチパッド式リモートタッチが採用されるなど、使い勝手の向上が図られています。
加えて、サードシート車の3列目が改良され、いままで固定式だった1種類のシートポジションから2種類のポジションに変更。足元空間を広げたポジションと、ラゲッジスペースを重視したポジションから設定できます。
走りも熟成が図られています。狙いは、リニアな応答性と上質な乗り心地の追求だそう。
まず、スポット溶接の打点(14点)を増やすとともに、構造用接着剤の接着長を2.3m延長。さらに、アンダーボディでも接着剤の長さを1.9m延長したそう。こうしてボディ剛性を向上したことで、優れた操縦安定性、乗り心地を実現したとしています。
足まわりでは、ハブベアリングのプレロード(プリロード)を高めることで、ボディ剛性を向上。リヤサスペンションでは、リヤスタビライザーの径をアップすることで、ロール剛性が引き上げられています。
また、新構造のフリクション・コントロール・ダンパーが採用され、「F スポーツ」には新制御のAVS(Adaptive Variable Suspension System)、パフォーマンスダンパーが採用され差別化が図られています。可能な限り手が入れられるところには改良を施したそう。
ボディ補強も含めて、足まわりのリファインが図られているレクサスRX。試乗車は「RX450hL“version L”」のAWDで、レクサスが狙ったとおり、まずは乗り心地の改善が顕著に感じられます。
2015年の登場時は、路面が良ければフラットで上質な乗り味が味わえる反面、少し路面が荒れていると、大きめの上下動に襲われる印象がありました。しかし、開発陣の狙いどおり、ボディの剛性感が明らかに高まり、しかも足がしなやかに動くため、後席に座っても路面を問わず、快適性が損なわれません。ステアリングを握っていてもボディコントロールのしやすさが印象的で、山道でもグラリと急に動いて怖い想いをすることもありません。
3列シート車の乗降性は変わらないものの、後方にスライドさせることが可能になり(スイッチは助手席側のみ)、足元が広くなったのは朗報。頭上空間の狭さや、膝を抱えるようにして座るため、大人にとっては非常用そのものという広さではあるものの、子どもならそこそこ実用になりそうです。
一部オーナーから不満も出ていた乗り心地の面では、別ものといえるほどの改善を示していて、さらに迫力を増したエクステリア、タッチ式モニターの採用などインパネの操作系も改良されています。高い静粛性も相まって高級SUVとして高い満足感が得られるSUVに仕上がっています。
(文/塚田勝弘 写真/井上 誠、トヨタ自動車)