レクサス・LF-30のタイヤも共同開発。 グッドイヤーが見せた未来のタイヤとは?【東京モーターショー2019】

■苔を育てて酸素を発生させるタイヤ!

オールシーズンタイヤの草分けとして日本でも人気のタイヤブランド、グッドイヤー。東京モーターショーでは、電動化や自動化、持続可能性などを見据えた未来のタイヤ技術として、3つのコンセプトタイヤを披露しました。

ライアン・パターソン社長
プレスブリーフィングに立つグッドイヤー・アジアパシフィック地区ライアン・パターソン社長

まず「オキシジェン(=酸素)」。なんとタイヤのサイドウォール部分に苔を生息させ、開放的なトレッド面から水分を吸収、光合成を行わせて酸素を放出させるというなんともエコロジカルなタイヤです。うーん、その発想はなかった!

オキシジェン
中心部に苔を生やしたオキシジェン

次が「エアロ」。将来実現するという空飛ぶクルマのために設計されたタイヤで、空気の代わりにフィン状のスポークを備えています。飛行時はこのスポークが浮力を発生することでエネルギー抑制に貢献するそうです。タイヤ内部には各種のセンサーもあり、トラブルを事前に察知・解決することもできるとのこと。

エアロ
エアレスタイヤ「エアロ」

そして最後のタイヤには見覚えがありました。あ、同じ会場で前日発表されたレクサスLF-30 Electrifiedに装着されていたタイヤです! 内側に駆動用モーターも備えたこのタイヤは、グッドイヤーがレクサスと共同開発したものなのだそうです。

LF-30用タイヤ
レクサスLF-30 Electrified用コンセプトタイヤ
レクサスLF-30 Electrified
レクサスLF-30 Electrified

特徴は車両と一体化したエアロダイナミクスです。ボディとタイヤの隙間を極力狭めたうえで、アウト側のショルダー部分をスクエアに成型、これでフェンダーと一体化したような優れた空力を獲得しました。

LF-30用タイヤ
内側にはインホイールモーターが備わっています

さらに、普段は隠れて見えないトレッド面のイン側にフクロウの羽のような微細なフィンを作ってノイズを低減、同時にモーターの冷却にも一役買う仕組みとなっているのです。

LF-30用タイヤ
トレッド面内側のアップ。微細なフィンがノイズを抑制します

最近のタイヤはインテリジェント化しているとは聞いていましたが、こうやって具体的なモデルをみると、その先進性には驚かされますね。

ちなみにグッドイヤーの現実的なニュースとしては、EAGLEシリーズのフラッグシップ「EAGLE F1 ASYMMETRIC 5」が11月5日に発売開始となります(オープン価格)。ハイパフォーマンスタイヤにも関わらず低燃費性能にも優れ、全16サイズ中13サイズがAグレードを獲得しているとのこと。

EAGLE F1 ASYMMETRIC 5
EAGLE F1 ASYMMETRIC 5

皆さんも東京モーターショーでは、足元のタイヤを気にしてみてください。

(写真と文:角田伸幸)

この記事の著者

角田伸幸 近影

角田伸幸

1963年、群馬県のプロレタリアートの家庭に生まれる(笑)。富士重工の新米工員だった父親がスバル360の開発に立ち会っためぐり合わせか、その息子も昭和期によくいた「走っている車の名前が全部言える子供」として育つ。
上京して社会人になるも車以上に情熱を注げる対象が見つけられず、自動車メディアを転々。「ベストカー」「XaCAR」で副編集長を務めたのち、ポリフォニー・デジタルにてPlayStation用ソフトウェア「グランツーリスモ」シリーズのテキストライティングに携わる。すでに老境に至るも新しモノ好きで、CASEやパワートレインの行方に興味津々。日本ディープラーニング協会ジェネラリスト検定取得。大好物は豚ホルモン(ガツとカシラ)。
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