ハッチバックの派生ではない実力コンパクトセダン「VW ジェッタ(2代目)」【ネオ・クラシックカー・グッドデザイン太鼓判:輸入車編】

●ゴルフⅡの陰に隠れた質実剛健な実力車・ジェッタ

80~90年代輸入車のグッドデザインを振り返る本シリーズ。第8回は、世界的な人気者の陰に隠れた、静かな実力派コンパクトセダンに太鼓判です。

初代ゴルフのセダン版として1979年に追加された初代ジェッタ。ベースのゴルフがモデルチェンジしたことに合わせ、1年遅れの1984年に登場したのが2代目のジェッタです。

ジェッタ・フロント
ゴルフと並行開発されることで洗練さを増したセダンボディ

大ヒットしたゴルフをベースにしたものの、後からラゲッジスペースを「取って付けた」感の強かった初代。その不評を踏まえ、ゴルフⅡと並行開発されたボディは、より一体感のあるものとなりました。

とくに、ラゲッジをハイデッキにしたことは正解で、洗練さを増しつつ80年代らしい先進感も併せ持つことに成功。違和感の少ないボディは、後に続く「ハッチバックベースのセダン」に大きなヒントを残したといえます。

ジェッタ・リア
ハイデッキスタイルが80年代らしい先進感を演出するリアビュー

ゴルフと共通のキャラクターラインは、セダンとしては若干低く感じられますが、ハイデッキで持ち上げられたリアランプの下端に一直線に引かれることで、ハッチバックと異なる絶妙な落ち着き感を得ました。

初代同様の角型ランプとシンプルなグリルを組み合わせたフロントフェイスは、角に適度なRを持たせることでゴルフよりも上質な顔を表現。同じく角型のリアランプは、質素ながら黒のガーニッシュで囲まれることによって質感をキープしました。

計器類や操作部分を四角い枠で囲んだインパネは初代ゴルフ・ジェッタのイメージを強く残していますが、パネルの表皮やスイッチ類の質感は相当に向上。エントリーカーでありながら質実剛健な印象を受ける作りは、当時の日本車コンパクトにはなかったものです。

ジェッタ・インテリア
エントリーカーながら質実剛健なイメージと高い質感を得たインパネ

ゴルフⅡはジウジアーロによる初代のイメージを残しつつ、社内デザインチームにより魅力的なリファインが行われましたが、ジェッタもまたそれに準じます。同時期のシロッコもそうですが、80年代に入ってVW社内の造形力が確かなものになってきた証のようです。

ジェッタは人気者のゴルフの陰になりがちで、とくにGTI人気の強い日本市場ではなおのこと。実際ゴルフⅡはいまだに旧車市場で高い支持を得ていますが、コンパクトセダンのあり方として、2代目ジェッタはもっと評価されてもよいのではないでしょうか。

●主要諸元 VW ジェッタ Ci (3AT)
全長4315mm×全幅1665mm×全高1415mm
車両重量 1020kg
ホイールベース 2475mm
エンジン 1780cc 直列4気筒SOHC
出力 90ps/5250rpm 14.0kg-m/3000rpm

(すぎもと たかよし)

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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