●3つのモーターを搭載し、システム出力は1000cv! 4WDを採用
フェラーリ初の量産型PHEVである「Ferrari SF90 Stradale(フェラーリ SF90 ストラダーレ)」が日本デビューを果たしました。
単なるエミッション目的のプラグインハイブリッドではなく、システムの最高出力は1,000 cv、パワーウェイトレシオは1.57kg/cv、最高速度250km/hでのダウンフォース390kgというモンスターマシンであり、フェラーリ史上初めてV8エンジン搭載車がラインナップの頂点を極めたと位置づけています。
ボディサイズは、全長4710×全幅1972×全高1186mm。ホイールベースは2,650mm、タイヤサイズは、フロントが255/35 ZR20 J9.5、リヤが315/30 ZR20 J11.5。
3,990ccのV8ターボは、フェラーリの8気筒エンジン史上最高となる出力780cvに達し、システム出力の残る220cv は、3つのモーターによってデリバリーされます。
3つのモーターのうち1基は、F1由来のMGUK(モーター/ジェエレーターユニット、キネティック)で、エンジンと新しい 8速DCTの間に搭載され、リヤホイールを駆動。残る2つのモーターは、フロントアクスルに搭載され、左右のホイールを駆動。つまり、同ブランドのスポーツカーでは初の4WDになります。
さらに、フルエレクトリック・フロントアクスルの「RAC-e(電子コーナリング・セットアップ・レギュレータ)」も搭載されています。これは、電動走行での動力を供給するだけでなく、2つのフロントモーターが独立してトルクを制御し、トルクベクタリングを拡張するシステムだそうです。
技術的なトピックスは盛りだくさんで、中でも「シャット・オフ・ガーニー」と呼ぶ、フェラーリが特許を取得したアクティブ・システムが注目。
これは、車両後部に搭載されていて、横方向のダイナミック荷重が低い高速走行時でのボディ上面の気流を制御し、コーナリング、ブレーキング、方向変換時にダウンフォースを強化するデバイス。
コックピットはドラッグ低減を図るべく、これまでよりも前面投影面積が小さくなり、コクピットの位置が前方に移動。また、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)とインテリアのコンセプトが一新されています。
たとえば、ステアリングホイールに配されたタッチパッドとハプティック・ボタンにより、親指だけで車両の様々な機能を制御できるようになったそう。中央のインストルメントクラスターは、完全にデジタル化されていて、ステアリングホイールに設置したコントロールですべての設定、操作ができる16インチ曲面HDスクリーンが採用されています。
バリエーションは、標準仕様とスポーツ仕様の2つのバージョンが設定されています。
「Assetto Fiorano(アセットフィオラーノ)仕様は、GTレーシング由来の大幅なアップグレード要素として、マルチマチック・ショック・アブゾーバー、カーボンファイバー(ドアパネル、アンダーボディ)、チタン(スプリング、エグゾーストライ ン全体)など、高性能素材が使われた超軽量コンポーネントが含まれていて、30kgの軽量化が達成されています。
さらに、250km/hで390kgのダウンフォースを発生するダウンフォース・カーボンファイバー製リヤスポイラーを搭載。同仕様には、ドライやトラック(サーキット)での性能向上に向けて、専用に開発されたミシュラン・パイロット・スポーツカップ2タイヤが装備されます。標準タイヤに比べて、よりソフトなコンパウンドと浅いグルーヴが特徴とのことです。
トランスミッションは、8速オイルバス・デュアル・クラッチ・トランスミッションが搭載され、新しいギヤ比と動力伝達の効率向上により、性能を犠牲にすることなく、都市部および高速道路での燃費を向上。WLTPサイクルでは、 8%高効率化され、サーキット走行での効率は、1%向上しています。
レイアウトの最適化も図られていて、ドライサンプの採用、そして従来のギヤボックスに比べて20%小径になったコンパクトなクラッチ・アッセンブリーの導入によって、搭載位置が15mm下げられています。
さらに、8速ギヤが追加され、最大トルクが900Nmに増大(現行の7速に比べて20%増)にも関わらず、ギヤボックスの総重量は7kg軽量化されています。
(塚田勝弘)