FIA・F3に挑戦中の後輩・名取鉄平選手の応援に行ってきましたイタリアGP!Part.1【井出有治の愛車・インフィニティFX45】

チョイ久々になってしまった【井出有治の○○選】シリーズ。今回はTeam IMPULでのフォーミュラニッポン時代(2004~2005年)に「なんか知らないけど乗っていた」というSUV、インフィニティFX45のお話からの、その当時のフォーミュラニッポンの話。

と、9月7-8日にイタリア・モンツァで開催されたイタリアGPへ行ってきた報告からの、F1を目指すフレッシュレーサーのこと…自身もF1へ挑戦した経験があるからこそ分かるアレコレを語ってくれました~のPart.1です。(clicccar永光)

2004年フォーミュラニッポン
井出有治さんが2004年にドライブしていたフォーミュラニッポン、Team IMPUL mobilecast IMPUL

■え、コレってボクが買うの…? ありがとうございます(汗)

●先ずは想い出の愛車…Team IMPULスーパーフォーミュラ時代の愛車、インフィニティFX45の話

インフィニティFX45
インパルにあったカッコいいFX45を購入、しばらく乗っていましたが…!

インフィニティFX45」って知っていますか? ボクが2004~2005年、Team IMPULでフォーミュラニッポン(現スーパーフォーミュラ)に乗っていたときにZ33と並行して愛車にしていたクルマです。

インフィニティFX45って北米向けに作ったクルマで、V8のVK45DEを積んでいるデカいSUV。それがインパルに5台ほどあって、ある日インパルの金子豊さんが「FX45、1台オマエに分けてやるから!」って。まぁ「カッコいいですよね~!」とかの話をしてはいたんですけど欲しいって言ったっけ~? でもまぁ意味分からずに「ありがとうございますー!」って、なぜか現金一括で買ったんですよね。700~800万円くらいだったかな。

FX45はオートクルーズ付きだったんですけど、セット中いきなりクルマが前に割り込んできたりすると距離感がワケ分かんなくなるのか、センサーが誤作動を起してフルスロットルになったり!

また、普通に乗っているときにはまぁいいんですけど、首都高とかを走っているとボディがグニャグニャ動くんですよ。こんなにデカくて重量があってこの剛性感の無さ…。ある意味スゴいクルマでした。

井出有治選手記者会見
喜びいっぱいの2004フォーミュラニッポン、優勝記者会見。

●星野一義監督からのモーニングコール…ヤバッ! 寝坊した(汗)

その頃のフォーミュラニッポン、レースウィークには朝、クルマに乗ってエンジンかけてホテル出入口で星野一義監督を待つ…っていうのがボクの役目だったんですけど…。

「井出、おはよう…行くゾ!!」って星野さんからモーニングコールがかかってきて…ヤバッ! 時計見たらもうパニック状態! 飛び起きてソコラにあるもの着て部屋を飛び出して…!

でもね、そんなことで星野さんは怒らないんですよ。まぁ毎度毎度やってたら叱られるだろうけど、その時の一度きりだったから。

星野一義監督と井出有治選手
優勝し、思わず星野一義監督の胸に顔をうずめる井出有治選手。なぜかこの画像を見ているとウルウルします(clicccarやすの)。

●フォーミュラニッポンのレース後は眠れない日が続き…

フォーミュラニッポンってホントにいろいろ大変なレースで、皆さんの想像以上に心身ともに疲れるんです。レース後2~3日は特に、あの時あーしていたら…とか、あのコーナーであんなことが起きていたら…とかいろいろ考えちゃうんです。レースウィーク中は意識が集中し過ぎているので、レースが終わってもその意識がそのまま残っちゃっているような、そんな感覚ですね。

予選でトラブル
2004年、予選でトラブル発生、悔しさからか泣き崩れる井出有治選手。辛く苦しいこともたくさん経験しました。

心身ともに疲れ切っちゃってるので、逆に眠れない日が続いたり。浅~い眠りの中でサーキットを走っている夢を見てオォ~!って飛び起きたり! そんなことがしょっちゅうありました。

2006年のF1の時もそんな感じ。特にあのマシンはいろいろとね、ホントいろいろとあったから…ブレーキが効かないとかシートが合ってないとか!?…っていうのはまた別の機会に!

2004フォーミュラニッポン
2004フォーミュラニッポン第8戦ツインリンクもてぎで優勝! スタッフ全員で迎えます!

■FIA F3に挑戦中の名取鉄平&ポルシェおじさんの応援にイタリアGPモンツァへ!

行ってきましたイタリアGP! 久しぶりのF1生観戦、かな? でも今回はF1観戦がメインではなく、F1ヨーロッパラウンドに併催されているFIA F3に参戦中の名取鉄平選手と、PMSC(ポルシェ・モービルワン・スーパー・カップ)に参戦した友だち歯医者さんの小林賢二選手の応援です。2018年からいつか行こうと思っていた小林選手のPMSC応援になかなか行けず。じゃFIA F4からステップアップし2019年からFIA F3に挑戦している鉄平選手のふたりともがエントリーするレースを!ってことで、ようやくスケジュールが合ったのが今回のイタリアGP。

イタリアGP
フェラーリの国でフェラーリが勝ったイタリアGPへ行ってきました!

他にカートの子どもたち家族も一緒にワイワイと、初日のホテルが予約されていなかったり、迎えのハイヤーが遅いからって帰っちゃってたりと、なかなかの珍道中でした!

地元が同じ東浦和で、先日のPSCJ鈴鹿最終戦も一緒に走った小林選手の海外での走りを初めて観て、チェッカーフラッグを受けている姿を見たらウルウルしてしまった!

PMSC小林選手のポルシェ911
目の前でチェッカーを受ける小林賢二先生に親心のようにウルウルしてしまいました(感激)!
コースチェック
いつもの癖?で、走りもしないのにトラックウォーク(笑)!

●ターボエンジンのF1は…静かすぎ!?

F1を久しぶりに見て思ったけど、エンジン音って静かですよね! 今の1.6L V6はターボ付きだから静かなのはしょうがないんだけど、コースサイドで見ていても圧倒される感じが少ないです。だってね、ピットで耳栓要らないもの。韓国でボクが参戦しているSUPERRACEのASA6000(6.2L V8 NA)のほうがよっぽどうるさい(笑)! 昔の3L V10 NA(ボクが乗った2006年はダウンサイジングされた初年度で2.4L V8 NA)みたいなカーーーン!っていう音がないのはちょっと寂しいよね。久しぶりに生で観た、F1で感じた第一印象はソレ。

モンツァのコースチェック
おもわず縁石の高さやアンジュレーション(※路面のウネリなど)をチェック!

●走れば速いのに、FIA F3でなかなか結果が残せないけど可愛い後輩、名取鉄平選手…

clicccarでも何度か登場している名取鉄平選手(子どもカート教室GO!!KARTFIA IDCレポート2019東京オートサロンMoty’sブース紹介、他)、2018年までボクがアドバイザーをしていたカートチーム(現在は監督やってます)の選手で、2018年FIA F4でシリーズ2位だったけど特例でFIA F3にステップアップできた期待の若手レーサー!っていう肩書はあるんですけど、なかなか結果が残せず…。鉄平は走ればホント速いコなんですけどね、なんか運を引き寄せられていないというか。

名取鉄平選手の走り
いろいろなことを経験して欲しいけど、しなくていいコトまで経験しちゃっている鉄平。むず痒い…。

結果、Race1は予選12位/決勝11位。Race2が予選11位/29位。

片や同じくFIA F4からステップアップした角田裕毅選手のRace1は予選6位/決勝3位。Race2が予選6位/決勝1位で初優勝!(※Race2のスターティンググリッドはRace1の順位によって決まります。)

●角田選手はミスをしないタイプ。鉄平は危なっかしいけど勢いがあって速いタイプ。

鉄平、今回のイタリア戦は結構、調子良かったんです。金曜のフリー走行、路面はセミウェットで、でもコースの半分以上はスリックのほうが速いようなセクター2=1番ツイスティなところで、鉄平はブッチギリで速かったんです。

モンツァってハイスピードコースなので、予選はみんな最終コーナーでタイミングを合わせ、スリップを使って計測に入りたがるんです。で、最終コーナー手前が大渋滞! 鉄平はそのまま全開で抜いていったら危ない!と思って、抜かずにその渋滞にはまる感じでスピードを合わせていたら、そこで固まってた連中10台くらいが揃ってペナルティ! 鉄平は予選5、6番手のタイムだったのに12番手まで落とされて…。「オレ危ないから抜かずにソコにいただけなのに~」って、運の無いヤツ…。

FIA F3 イタリア戦レース2
世界中から「自分が1番!」と思っている若者が集まっているのが、FIA F3。

角田選手は逆に、12、13番手くらいだったのが10台くらいにペナルティが出たことで予選6位に繰り上がりました。でもまぁモンツァのコースは抜けるサーキットだから順位を上げていけばいいんじゃない?って言ってたら鉄平、欲張ってスタートでエンスト! そこから負の連鎖。

スタートでエンストして、焦ってリスタートして最後尾で1コーナー入るときに、渋滞の最後尾にオカマ掘って、またペナルティ食らって…。なんかいつかのフェルスタッペンみたいなことをやってましたよ! でも、そこから追い上げて結果、11位。

で、Race2。11番手からスタートしたけどなかなか上がってこられず、レース中に2回のペナルティで計15秒ほど食らって、も~グジャグジャ!

#29名取鉄平選手
ホント、走ればとっても速いんですけどねぇ…頑張れ!

このレースウィーク、角田選手より鉄平のほうが流れも良く速さもあり、でも終わってみたら角田選手が初優勝!

エンストとか経験しなくてもいいミスをせずに早く結果を残してもらいたいけど、鉄平はあまり人の話を聞くタイプじゃなく、自分が痛い目にあって初めて気付くタイプ。F1に行くためには当然、スーパーライセンスポイントをとらなきゃいけない。しなくていい経験で勉強をしているうちにF1には行けなくなっちゃいますからね。なにせ結果がすべてなので…。

片や6番手からスタートして3~4周でトップ出てタイヤマネージメントして逃げ切って、片やペナルティ2回食らって…。そんなことやってたら評価の対象にならないですよね。角田選手はマルコ博士(※ヘルムート・マルコ。元F1ドライバー、現レッドブルレーシングのモータースポーツ・アドバイザー)が「角田だったらF1に乗せられる!」って太鼓判押していますから。

ヨーロッパのF3選手はプロではないので、評価されずに育成期間が終わったら、それで終わり。次の若手が来てドライバー交代。評価されないドライバーはクビになるだけ、勉強している時間なんかないんです。鉄平にはそう話はしているんですけど、シートが無くなってクビになって初めて気付くパターンだと思います。それに、そういう人は世の中にいっぱいいるんです。調子乗っちゃってるので、人の話は右から左に抜けていっちゃう。

でもね、カート時代から成長を見てきた鉄平なので、なんとか2020年へ向けていい流れに乗ってくれることを願っています。

出走前の名取鉄平選手
出走前、緊張しているんだかしていないんだかよく分からない?鉄平。

■ユーロフォーミュラ・オープンではポールtoウィン、やったね鉄平!

と思っていたら、FIA F3と並行して参戦しているユーロフォーミュラ・オープン第8戦のバルセロナRace2で、鉄平がポールtoウィン! しかもブッチギリのファステストラップも記録!! よーやく、やっと、輝かしい結果を残してくれました。おめでとう鉄平!(井出有治)

ユーロフォーミュラ・オープン
ユーロフォーミュラ・オープンでの鉄平は#11。ようやく優勝です!
優勝した名取鉄平選手
ようやく、やっと、表彰台の中央に上った鉄平。おめでとう!

ってところで、まだまだお話は続きます。日本のF1ドライバーのこと、乗せるべきレーサー、「超客観的に言うと(井出)」乗るべきではないレーサー…などについて熱く語ってくれたお話は、次回PART.2へ!

(語り:井出 有治/文:永光 やすの/画像:井出 有治/オートスポーツ誌/AUTOSPORT web)

 

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【関連リンク】

井出有治オフィシャルサイト:yuji-ide.com
https://www.yuji-ide.com/

レースとクルマの電子雑誌書店 ASB電子雑誌書店
https://www.as-books.jp/

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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