FF好きな琴線にビンビン触れたMINIクーパーS & 韓国レースRd.1報告も【井出有治のとにかく楽しかった珍&名車3選・その2】

元F1ドライバーであり、またそのトップクラスのレーシングドライバー・スキルを活かし、clicccarではハイパワー系のテストドライブをメインにお願いしている井出有治さんに語ってもらう【井出有治の選ぶ○○5(3)選】。今回は「とにかく楽しかったマイカー3選」のその2です。

その1ではP10プリメーラを振り回して遊んでいたお話と、それと同時期に星野一義さんのカバン持ち(マネージャー)をしていた頃の感動的&星野FANの私には目がハートもののお話をうかがいました。

今回のその2では、メディアの撮影時に試乗し、その後マイカーとした「BMW MINIクーパーS」についてと、その時代のお話をお聞きしました! プラス、GW中に行われた韓国スーパーレースASA6000報告も!

■他テスターには低評価? でもボクの一番のお気に入りはMINI!

車名:BMW MINIクーパーS(ガンメタ/年式?/2010〜2011年にかけて?/買った時にはすでに車高短でした〜)

女子人気が高く、また「コンパクトFF好き」のボクも大好きなBMW MINIをマイカーにしていた時期が確か…2010〜2011年にかけてだったかと。グレードは「クーパーS」。

MINIはあるメディアの撮影で筑波サーキットのタイムアタックやレースをしたんです。その時に乗ったMINIは真っ赤なボディに黒ラインの入ったMINI最強バージョン「ジョンクーパーS」。その撮影では5車種ほどをとっかえひっかえ乗ったんですけど、他がシビックやらメガーヌやらだったのでレースではトップ獲れず、他のテスターからの評価もイマイチ…。でも、ボクはあの車種の中でMINIに一番魅かれたんです。

撮影後に乗らせてもらってもやっぱり楽しくて、FFコンパクトカー好きのボクの頭から離れなくなっちゃって! そんな時、たまたま知り合いのクルマ屋さんにクーパーSのガンメタがあったので、マイカーとして購入しました。

MINIクーパーSはもちろん、マニュアル。なので長距離移動は苦手なんですよ〜。MINIはホイールベースが短いのでハンドリングを楽しめるクルマではあるけど、高速道路をずっと走るっていうのには不向き、というより逆に疲れちゃう! MINIで鈴鹿サーキットへ行こうと思ったことなんか1mmもない(笑)! まぁMINIで行ける限界はもてぎと富士くらいかな。

渋滞のマニュアルは面倒だし、高速も疲れちゃう。でもMINIには「運転する楽しさ」がたくさんありましたね。

時は流れて昨2018年8月、お台場で行われたBMW CLUB JAPANさんのイベントに参加したときに乗った、最新のMINIジョンクーパーSはやっぱり面白いな!って、その場で危うく衝動買いしそうになったけど我慢しました(笑)

でもやっぱりもう一度乗りたいなぁ〜。持っていたクーパーSは購入時にはすでに足まわりが換わっていて車高も低かったので、今度はフルノーマルの状態で乗りたいです!

■2011年〜レース活動の空白期間、その時期のボクは…ダメ人間だった!?

2010年、フォーミュラニッポンは「TEAM MUGEN」から、スーパーGT・GT500では「AUTOBACS RACING TEAM AGURI」からARTA HSV-010で参戦していました。が、翌2011年…MINIに乗り始めた年からその後2012年にかけての時期は、レース業界からちょっと距離を置き、環境や人間関係含めボクには時間が必要と思い、自身のレース活動に空白期間を置きました。

その間の約2年間、そのうちの1年くらいはほぼ引きこもり状態。その時ボクは何をしていたか?っていうと…「ドラクエ」! オンラインでのドラゴンクエスト・シリーズがスタートしたときだったんですよ。で、家に引きこもってず〜っとドラクエやりたい放題!

本当にず〜っとゲーム漬けで家を出ることもあまりなく、レースやクルマ関係の仕事以外はやりながらも3〜4ヵ月くらいハンドルを持たない時期がありました。ふと気づくと…あれ? オレずっとクルマ乗っていない!?って。駐車場に置きっぱなしのMINIはバッテリーが上がりかけていたりして!

でもなんでそんなゲーマーみたいな生活をしていたか?っていうと…。

もうね、モータースポーツなのに「スポーツ」とはかけ離れた、レース業界の真っ黒でイヤ〜な中にガッツリ入れられてしまうと、すべてを投げ出して、ドラクエをやり放題やって、暗黒だったレース環境をすべて忘れてしまいたくなっちゃったんです。華やかな世界に見えるレース業界だけど、いろいろあるんですよ〜。なんかね、完全に心が潰されちゃった感じ。

でも、そんなレース&クルマ仕事無し生活を1年ほど過ごし、サスガにこれはヤバイ…と自分でも思い、そろそろちゃんとしなくちゃ…と考え直してドラクエ三昧を止めたんです。時間を置いたことで気持ちの整理も付いたしね。

その後、いろんなしがらみもなく心から楽しんでレースができる環境を模索し、2013年のスーパーGT・GT300に1戦だけでしたがOGT!Bonds Racing NISSAN GT-R NISMO GT3(R35)に乗りました。久しぶりに走るFSW、久しぶりに乗るレーシングカーで200km/hオーバーはオレ、大丈夫か!?と心配もありましたけど(笑)、結果は予選はちょ〜っとパートナーが失敗して25位、決勝はボクにドライバー変更してからブチ抜きまくって5位。

スポットの1戦のみでしたが、このレースにエントリーさせてもらったおかげで再度、レースの楽しさを感じることができてありがたかったです。やっぱりレースはスポーツなんだから楽しめる部分がなくては…ね!

■井出有治選手、参戦中の【2019 SUPERRACE CADILLAC6000 Rd. 1】報告!

2019年も引き続き、6年目となる韓国の「スーパーレース・キャデラック6000(ASA6000)」(S6000から名称変更)に参戦しています。その開幕戦が4月27-28日エバーランドにて行われました。

【SUPERRACE CADILLAC 6000(ASA6000)】
Rd.1 in Everland Speedway Circuit
KUMHO ECSTA RACING TEAM
#07 Ide Yuji 予選 5位/決勝 3位

決勝はスタートも決まり、オープニングラップで2台をパスして3位へ! トップについて行こうとしたのですが、後方から追突されてリヤのディフューザーを潰されてしまい思うようにペース上がらず。3周目には2台に抜かれてスタートと同じ5位にポジションを落とすことに。

その後、他車の接触でセーフティカーが入り、リスタートと同時に1台パスして4位へ! 2位と3位がガチンコしている間に3位へ!! その後は何とかポジションをキープするのが精一杯…。しかし、ファイナルラップでライバルチームの柳田真孝選手に抜かれてしまい4位でゴール…。なのですが、上位のペナルティがあって正式結果は3位となりました。

2019シーズンは一番重要なタイヤがイマイチ…。しかし、開幕戦で確実にポイントを取ることはとても重要なことなのであまり無理することもできませんでした。2018シーズン以上になかなか厳しくなりそうですが、チームも努力をしてくれているので頑張ります!

Rd.2は5月25-26日にRd.1と同じEverlandで開催です。少しウエイトは増えるけど、ここで優勝できたら良いな! 応援よろしくお願いします!!

1990年(15歳)、カートからレーシングドライバーとしてのキャリアをスタートさせ、2006年(31歳)にはF1へも挑戦。その中では数々のいろんな悔しさ、しがらみ…などに悩まされていたんですね。でもそれはトップレーサーだからこそ、なのかも。でも、そんな経験をしてもネガティブな言葉は言わない強い精神を併せ持つのも井出さんなんですよ!

さて次回「とにかく楽しかったマイカー3選」ラストその3は、カート時代の移動用として使っていたバネット(珍車!)のお話〜!

(語り:井出 有治/文:永光 やすの/画像:オートスポーツ誌・井出 有治・永光 やすの)

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【関連リンク】

井出有治オフィシャルサイト:yuji-ide.com
https://www.yuji-ide.com/

レースとクルマの電子雑誌書店 ASB電子雑誌書店
https://www.as-books.jp/

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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