日本初の国産AT車の遺伝子を受け継ぐ、オカムラのオフィス用電動イス【第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019】

●誰もが「はたらく場」へ。仕事場での移動をサポートするWeltzシリーズ

9月25日(水)~27日(金)の3日間、東京ビッグサイトで開催された「第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019」。その東京ビッグサイトの西および南展示ホールでは、移動機器、移動補助製品から、福祉車両。ベッド、入浴、トイレ・おむつ、衣類・着脱衣補助といった用品。そしてコミュニケーション・見守り機器といった各項目の福祉機器の展示が行われた。

オフィス家具の製造・販売を手掛けるオカムラも出展。移乗リフトの紹介をするブースだが、それとともに多くの関心を集めていたのが、Weltz(ウェルツ)シリーズの2種のオフィスチェアであった。

アクティブムーブチェアWeltz-EV(ウェルツ イーヴイ)は、座ったままでのスムースな移動を実現した屋内用の充電式電動オフィスチェア。シート下にバッテリーを収納。大型車輪を身体の重心付近に配置することで、旋回半径は550mmと小さく、その場での旋回が可能。跳ね上げ式のアームレストを採用しており、車いすからの移乗にも配慮している。

移動は右側のアームレストに備えるジョイスティックで直感的な操作が可能。また、ジョイスティックの高さを低くすることで、720mmの高さのデスク内にも収まる設計となっている。下肢や腰の機能が低下した高齢者から障がい者まで、それぞれの「はたらく場」への進出を助けるチェアとして登場している。

そしてもうひとつのモデル、Weltz-self(ウェルツ セルフ)は、座ったまま、足こぎでのスムーズな移動を実現したモデル。前側の開口部を広く取ったことで座ったまま足を動かしやすいフレーム形状に、旋回性の高い車輪配置を実現し、既存の椅子と比較すると格段に走行性能が向上している。グッドデザイン賞やドイツのUNIVERSAL DESIGN EXPERT受賞など評価も高い。

ちなみにこのオカモトという会社、日本初の純国産トルクコンバータ(1951年)の開発に成功。そこから、強制空冷OHV水平対向2気筒586ccエンジンにトルクコンバータと二段変速機を組み合わせた自動変速機(ノークラッチOKドライブ)を搭載したセダン「ミカサ」を製造したメーカーでもある。

「ミカサ」に搭載したトルクコンバータは日本機械学会により2015年に「機械遺産」に認定されている。

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
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