フル・システム・サプライヤーだから実現できるZFの自動運転とは?【ZFテクノロジーデイ2019】

自動運転中の画面

■ドライバーの副操縦士役を担う「レベル2+」は2021年に量産開始予定

●限定された区域を走る商用車向けには「レベル4」の実現を目指す

ドイツのメガサプライヤーであるZFは、4本柱の技術開発に取り組んでいます。その4つは、「Electric Mobility(電動化)」「Integrated Safety(統合安全)」「Vehicle Motion Control(車両制御)」「Automated Driving(自動運転)」です。

ドイツ・ドレスデン近郊のサーキット(ユーロスピードウェイ・ラウジッツ)で開催された「ZFグローバルテクノロジーデイ2019」では、それぞれの技術の詳細な説明を受けた後、デモンストレーションを体感することができました。

ZFが取り組む四つの技術
ZFが取り組む四つの技術。その中心となるのはデジタル化です。

ここでは、ZFが開発を進めている自動運転についてご紹介します。

最近、話題となっている自動運転ですが、アメリカのSAE(自動車技術会)によって6段階のレベルが定義されています。
・レベル0(運転自動化なし)
・レベル1(運転支援)
・レベル2(部分運転自動化)
・レベル3(条件付運転自動化)
・レベル4(高度運転自動化)
・レベル5(完全運転自動化)

自動運転のレベル分けについて
自動運転はレベル2までがドライバーによる監視、レベル3以降がシステムによる監視となっています。(国土交通省のHPより)

日産スカイラインに搭載されて話題の「プロパイロット2.0」は、レベル2にあたります。レベル2では、前後および横方向の両方の運転操作(ステアリングとアクセル/ブレーキ)が自動化されます。

レベル2でも技術的なハードルはかなり高いのですが、レベル3はそれ以上です。レベル2までは自動運転の主体は人間(ドライバー)なのですが、レベル3では限定条件下ではあるものの、システムがすべての運転タスクを実施します。つまり、人間は基本的に運転操作を行う必要がなくなり、運転席に座っていてもスマホをチェックしたり読書をしたりして過ごすことが可能となるのです。しかし、完全にシステムにお任せでOKというわけではなく、自動運転緊急時やシステムが作動継続困難な状態においては、ドライバーがシステムに代わって運転をする必要があります。

レベル3の実現が難しいのは、技術的な問題だけではありません。システムが非常に高額になり、費用対効果のバランスが良くないこと、また「事故を起こした際の責任がどうなるのか」といった法律やインフラの整備が追いついていないことも高いハードルとなっています。

ZFではまだ多くの国において認可されていないレベル3ではなく、「レベル2+」の開発に注力しています。上記でご紹介したSAEによる自動運転の定義にレベル2+はないので、これはZF独自の定義となります。レベル2を上回る自動運転機能と安全性を備えているというレベル2+を実現するシステムとして、ZFはNVIDIA社と共同で「ZF coPILOT(コパイロット)」を開発しました。

ZF coPILOT
ジャガーIペイスがベースとなったZF coPILOTのデモカー。ZFテクノロジーデイ2019には登場しませんでしたが、4月の上海モーターショーでお披露目されました。

ZF coPILOTの頭脳は、「ZF ProAI」という名の車載コンピューターです。要求される性能に応じて、5種類がラインナップしています。最も高性能な「ZF ProAI RoboThink(ZFプロAIロボ・シンク)」は,、毎秒600兆回(600テラOPS)まで の計算が可能な演算能力を有しています。発売されたばかりのiPhone 11に採用されている新型プロセッサ(A13 Bionic)の演算能力が毎秒1兆回と言われていますが、それと比較すると、「ZF ProAI RoboThink」がどれだけ高性能か…というのが想像がつくかと思います。

ZF PRO AI
求められる性能に応じて5つのモデルが用意される「ZF ProAI」コンピューター。最高峰の「ZF ProAI RoboThink」は、MaaSにも対応する。
ZF Pro AI High
レベル2+までに対応するのが、こちらのZF ProAI。中間のレンジに位置するスタンダードタイプですが、それでも演算能力は15〜30TOPSを誇ります。

この「ZF coPILOT」の特徴は、高速道路の乗り入れや退出を自動で行ってくれるほか、車線変更・追い越し・再合流も音声コマンドで指示できること。「コパイロット(副操縦士)」という名前の通り、運転の主体である人間をサポートする役割を担います。市場への投入は、2021年が予定されています。

ZFではレベル2+の開発を進める一方で、一足飛びにレベル4の実現も横目で睨んでいます。空港や工場など制限されたエリア内を走行する商用車では、レベル4が現実的な自動運転となる可能性があるためです。

「ZFグローバルテクノロジーデイ2019」では、レベル4に対応したデモ車両に試乗することができました。

ロボタクシー
ZFが開発中のレベル4自動運転のデモカー。

メルセデス・ベンツVクラスがベースですが、車内にはハンドルもペダルも見当たらない代わりに、液晶モニターが追加されています。

デモカーのインテリア。
ダッシュボードを埋め尽くすディスプレイが印象的。センター部分のジョイスティックを用いて、マニュアルで動かすことも可能です。

自動運転での走行中、その画面を注視していると、画面上に映し出された車両や歩行者を迅速かつ正確に認識していることがよくわかりました。

自動運転中の画面
「Car(車)」「Pedestrian(歩行者)」「Bicycle(自転車)」を認識しています。

このデモ車両には、いたるところにカメラやセンサー、LiDAR(ライダー=3次元レーザースキャナー)が配置されています。「ZFグローバルテクノロジーデイ2019」の会場には、これらの部品単体も展示されていました。

車載カメラ
S-Cam4と呼ばれる新開発の車載カメラ。アダプティブ・クルーズ・コントロールや自動緊急ブレーキ、車線保持アシストなど多くの機能をサポートします。
高性能レーダー
高解像度のフルレンジ前方レーダー。速度、距離、角度、高さを高精度で認識します。他にミドルレンジの前方レーダー、ショートレンジのコーナーレーダーも用意されています。
LiDAR
歩行者や小さな物体も3Dで認識する高解像度のLiDAR。ソリッドステート(回転部分を持たない)タイプなので、これまでのLiDARよりも堅牢とのこと。
サウンドAI
こちらはサウンドAI。接近する緊急車両の種類と方向の認識をサポートし、ディスプレイに「右側に寄せて停車」などの情報をドライバーに提供します。

ZFはセンサー類やカメラ、コンピューター、そしてシャシー関係のコンポーネンツなどなど、自動運転に関する技術を全て網羅しているのが強みです。

フル・システム・サプライヤー
「SEE.THINK.ACT(見て、考えて、動かす」をスローガンに、ZFでは自動車に関するあらゆる技術を網羅している。自動運転の実用化には、それらをシームレスに融合させることが必要とされています。

「#MobilityLifeBalance(モビリティ・ライフ・バランス)」を掲げ、人々の生活をより豊かにしてくれるモビリティを実現するための一環として、ZFがどのような自動運転を我々に提供してくれるのか、今後も楽しみに注視していきたいと思います。

(長野達郎)

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