「第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019」に最新福祉車両が集結

●国内メーカー各社が最新福祉車両を出展した国際福祉機器展

「第46回 国際福祉機器展 H.C.R.2019」が、2019年9月25日(水)~27日(金)、東京・有明にある東京ビッグサイトで開催となった。

14か国1地域から約500社が出展するアジア最大規模の福祉機器展は、今回東京ビッグサイトの西および南展示ホールを使っての展示会となった。

福祉車両や車いすといった移動機器をはじめ、住宅設備、ベッド、入浴、トイレ、衣類といったものから、見守り、リハビリ、介護予防、生活支援から感染予防まで、福祉領域の実に幅広い出展が一堂に見られる機会である。ここに国内自動車メーカーから、トヨタ&ダイハツ、日産、ホンダ、そしてスズキといったメーカーもブースを出展していた。

トヨタ・ダイハツ合同ブースではトヨタの「ウェルキャブ」シリーズ10台、ダイハツの軽福祉車両「フレンドシップ」シリーズ8台の合計18台を展示する巨大なブース。

助手席のリフトアップシート仕様車から、スロープタイプの車いす仕様ミニバン&軽ハイトワゴン、そして送迎などに使われる電動車いす搬送のハイエースまでさまざまなタイプの車両が一堂に確認できる場となった。

中でも人だかりができていたのは、この3月に変更がなされたジャパンタクシー。車いすでの利用のしづらさを改善したモデルということで、この会場での実際の試乗を体験する車いすユーザーもいた様子。

また、「歩行領域EV 車いす連結タイプ」の試乗コーナーも登場。これは、2020年から2021年にトヨタが発売を予定している、人が歩いて移動するエリアを対象とした「歩行領域EV」を使って車いすの移動を補助するもので、他に「立ち乗りタイプ」や「座り乗りタイプ」もラインナップされる予定だ。

「車いす連結タイプ」は手動車いすのフロント側のフレームに装着し車いすの前輪を浮かせ、歩行領域EVで3輪車状態にして移動するというもの。まだ発売前のものだが、ここにも多くの注目が集まった。

日産もノート e-POWER、セレナ e-POWER、NV350 キャラバンといった車両をベースとした「ライフケアビークル(LV)」シリーズの7台を展示。

その中で注目はセレナLVをベースとしたコンセプトモデル「Adventure Log Cabin(アドベンチャー ログ キャビン)」。こちらは「出かける喜びを、一人でも多くの方へ」という日産ライフケアビークルのテーマをさらに進め「どんなところへも気軽にクルマでお出かけをしよう」を具現化したもの。

助手席スライドアップシートを搭載し、さらに後席側にはベッドキットを装備。車中泊からキャンプ等にも使用できる装備となっている。

ホンダブースは、新型N-WGNの助手席回転シート車を今回初展示するなど、N-BOX、フィット、フリード+、ステップワゴンをベースとしたスロープ仕様、車いす仕様など9台を展示。

Honda独自の手動運転補助装置「Honda・テックマチックシステム」の紹介、そして自動車運転再開に向けた能力評価サポートを目的に活用されている簡易型四輪ドライビングシミュレーター「Honda セーフティナビ」の体験コーナーも設置。

さらにHonda歩行アシストの体験スペースや、陸上競技用車いす「翔<KAKERU>」の展示も行い、ステージでは、カー・ライフジャーナリストのまるも亜希子さんと車いすテニスプレーヤーの国枝慎吾選手のトークショーも行われた。

スズキブースでは、福祉車両「WITH(ウィズ)」シリーズのフルラインナップ展示(5台)を行った。さらに、セニアカーやモーターチェアなどの電動車いす6台を展示。

傾斜お知らせ機能や音声案内といった機能を搭載したセニアカーを実際に体験することができる試乗スペースも用意していた。

他にも、福祉車両・介護車両改造を行うオフィス清水は、ヤナセオートシステムズとの共同出展という形で、運転席横からリアゲートに自動で車いすを収納するイスラエルTMN社の車いす自動収納装置「R11 ロボット」を装着したメルセデスCクラスワゴンや、車いすの昇降リフトであるイタリア・フィオレラ社「F360スリムフィット」をラゲッジにインストールしたメルセデスVクラス、ヒンジドアをスライドドアに変更したSクラスといった車両を展示。

今回初出展としては、ルーフトップボックス型の車いす収納装置「チェアトッパー」を備えたVWバリアントを展示。さらに現在開発中の移乗リフトなどの展示も行った。

また福祉総合サービスのアビリティーズのブースで昨年に引き続いて展示となったのが、フォルクスワーゲン キャディ マキシ(日本未導入モデル)をベースとした「キャディ マキシ Fスタイル3」。こちらは7人乗りミニバンをベースにイタリアのフォカッチャ社が加工を施したモデル。

車いすを積載しない場合は、完全にフラットな荷室として、また3列目シートを戻せば完全7人乗りのミニバンとして使用が可能。完全収納式スロープ「ジニアスランプ」は、300㎏の耐荷重性能を持たせてあり大柄な男性の電動車いすの乗降も問題ない。

車いすを載せた状態ではこの「ジニアスランプ」は折り畳まれてバッグドア側に立ち上がった状態で収まり、この状態でも後方視界を妨げない工夫も盛り込まれている。

この記事の著者

青山 義明 近影

青山 義明

編集プロダクションを渡り歩くうちに、なんとなく身に着けたスキルで、4輪2輪関係なく写真を撮ったり原稿書いたり、たまに編集作業をしたりしてこの業界の片隅で生きてます。現在は愛知と神奈川の2拠点をベースに、ローカルレースや障がい者モータースポーツを中心に取材活動中。
日本モータースポーツ記者会所属。
続きを見る
閉じる