アグレッシブなデザインからは想像できないオン-オフ性能を両立させた、横浜ゴム・ジオランダーX-AT

●快適な乗り心地と静粛性、オン-オフ問わないワイドレンジの走破性を両立

横浜ゴムから新発売されるSUV &ピックアップ用タイヤ「ジオランダーX-AT」は、オフロードドライブを連想させるアグレッシブなブロックパターンを採用しつつも、ビックリするほど高いオンロード性能を発揮しました。

ジオランダーX-ATラプターオンロード走り
F150ラプターといいマッチングを示すジオランダーX-AT

最初に試乗したのはフォードF-150ラプター。装着タイヤサイズは35×12.50R17 LTです。ダブルキャブのラプターはかなりの重量を持つモデルですが、その重量をものともせず、しっかりとタイヤが荷重を受け止めているフィーリングです。完全停止からアクセルペダルをグッと踏み込むスタートでは、グリップ感が抜けることなく力強いスタートをします。コーナリング時は粘りけのある横方向のグリップ感が感じられます。

そして、ビックリするのがゴツゴツ感のあるデザインからは想像できないほどの乗り心地のよさと静粛性です。クロカン系タイヤにありがちなゴー音などのパターンノイズなどはほとんど聞こえてきません。

ジオランダーX-AT ラングラー走り
ノイズが気になるかと思ったジープラングラーとの組み合わせだが まったく気になることはなかった

ジープラングラー(JL)にはLT285/65R18サイズが履かされていました。言わず知れたラングラーはヘビーデューティな使用で、内装の防音材や防振材なども最小限となっています。さらにルーフは取り外し可能な樹脂製ですから、ノイズ面においては不利なモデルですが、それでもうるさいという印象を受けないのがすごいと感じる部分でした。

ラングラー×ジオランダーX-ATのオンロードでの走りもグッと踏ん張るタイプで、ラングラーの持つシャシー性能を存分に引き出している印象です。

ジオランダーX-AT プラド オンロード走り
ジオランダーX-ATとプラドとの組み合わせでは プラドのシャシーがついてこられない印象

面白いのはランドクルーザープラドでの試乗でした。装着されたタイヤサイズはLT265/70R17です。プラドでも乗り心地のよさは十分に感じられ、静粛性も高いフィーリングです。

しかしコーナリングのフィーリングは少し特徴的でした。ラプターやラングラーではあまり感じなかったのですが、プラドではコーナリング時のロールが大きく感じます。こうした現象ははいパフォーマンスタイヤを装着した際に起きる現象です。

ノーマルサス、ノーマルタイヤの設定だとタイヤが横滑りを起こして力を逃がしてくれるのですが、タイヤの横グリップがアップするとサスペンションが負けてしまい、ロールが増えるのです。プラドではそうした現象が起きていたと思えます。

ジオランダーX-AT ジープ オフロード走り
リヤドライブの2WD走行でも走れてしまうくらいにタイヤ性能は高かった

そして、オフロードでの走行です。オフロード用としてはTRDのオフロード走行用パーツが取り付けられたトヨタ・ハイラックス、タンドラ、ジープ・ラングラー(JK)が用意されていました。試乗時は基本、トランスファーの設定を4Lにするように求められました。最初は4Lで走行していたのですが、それでは何も起きません。

タンドラでは4Hを試しましたが、それでも全部のセクションを簡単にクリアしていきます。ジープでも同様に4L、4Hと走りましたが何のストレスもなし、えいやぁで、2Hにしてみても平気。タイヤがプアだとこれはできない芸当です。

ジオランダーX-AT パタン説明
オフロード性能を確保するために工夫されたパターンデザイン

「ジオランダーX-AT」はオンロードよりの「ジオランダーA/T G150」とオフロードよりの「ジオランダーM/T G003」の中間の性能をねらったタイヤだと説明されましたが、いやいやその両方をカバーするワイドレンジのタイヤであることを実感することができました。

ジオランダーX-AT ハイラックス走り
競技パーツが取り付けられたハイラックスに履いても、見劣りのしないスタリングと性能を発揮したジオランダーX-AT
ジオランダーX-AT ラプター 走り
オン、オフどちらもしっかり走る性能を確保したジオランダーX-ATは、今後のSUV&ピックアップ用タイヤの主流となりそうなワイドレンジの性能を発揮した

(文/写真・諸星陽一)

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この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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