ロボット分野でも生活を支える存在を目指すトヨタ自動車。「Preferred Networks」と共同で研究開発を実施へ

●様々なタスクを遂行できるレベルのサービスロボットの開発を目指す

東京オリンピック・パラリンピックでもロボット技術で大会を支えるトヨタ自動車。2019年8月7日、トヨタとPreferred Networks(プリファードネットワークス、以下、PFN)は、市場のニーズに応えるサービスロボットの早期実現を目指し、トヨタの生活支援ロボットHuman Support Robot(以下、HSR)をプラットフォームとして、共同で研究開発を行うことで合意したそうです。

トヨタHSR
トヨタの生活支援ロボットHuman Support Robot(HSR)

現在、ロボットの活躍範囲は、産業用途から介護や物流領域と多岐に渡っています。しかし、一人一人の生活に寄り添い、その時々で適切な判断や対応が求められるサービスロボットの分野については、未だに多くの技術的課題があるそう。

今回、両社が持つ技術やノウハウを持ち寄り、一般的な生活環境の中でロボットが自ら学習し、様々なタスクを遂行できるレベルのサービスロボットの開発を目指すとしています。

トヨタHSR
トヨタの生活支援ロボットHuman Support Robot(以下、HSR)

具体的には、まずトヨタのHSRを数十台規模でPFNに貸与し、今後3年間で両社が連携して研究開発を実施。開発にあたり、両社が持つ既存の知的財産などの情報も含め相互の技術を共有し、また共同研究の成果も両社が自由に活用可能とすることで、サービスロボットの実用化に向けた開発加速を図るとしています。

トヨタの未来創生センター長の古賀伸彦は「トヨタは、2004年頃から人々の生活を支え、共生する、コンセプトに掲げ、主に身体の不自由な方や高齢の方を支援するパートナーロボットの開発に取り組み、2012年には生活支援ロボットとしての基本的なプラットフォームを有するHSRを開発しました。HSRはこれまで国内外13か国、49機関で研究開発に活用され、プラットフォームロボットとして高く評価していただいております。今後、よりユーザーニーズに応えるサービスロボット開発を目指すにあたり、世界トップレベルの知能化関連技術を有するPFNと、共同で研究開発を行えることを楽しみにしております」とコメント。

PFNの西川徹社長は「PFNは2014年の創業以来、深層学習技術を応用して自動車や産業用ロボットなどのハードウェアの知能化に取り組んでいます。CEATEC Japan 2018では、HSRに深層学習技術を応用し、不定形の物をつかむ/置く、動作計画を立てる、人の指示に対応するなど、全自動で部屋を片付けるロボットのデモンストレーションを行いました。HSRは優れたプラットフォームロボットであり、開発元のトヨタと共同開発に取り組むことで、ロボットが人の生活空間で働くために必要な機能の開発を加速させ、世界に先駆けてサービスロボットの実用化を目指します」と決意を語っています。

今後両社は、より多くの方々の生活の質向上に寄与できるよう、多様なニーズに応える賢さを持ち合わせたサービスロボットの研究開発に取り組んでいくとしています。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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