BMW330iMスポーツ頑固・清水和夫の推しドコロはトルコン制御の精密さ!【頑固一徹 和・試乗】

【頑固一徹・清水和夫、BMWの4番バッター「BMW 330i Mスポーツ」に乗る】

今回の頑固一徹テストは2019年1月に登場、3月より販売が開始された、7代目となるBMWの新型3シリーズです。BMWの屋台骨を支える中心的なモデルだけに注目を集めています。頑固一徹・清水和夫の評価はいかに!?

清水和夫BMW試乗

■新3シリーズとZ4との共通点とは?

・フロントセクションはZ4と同じアーキテクチャーで作られていた!

さぁ、BMW3シリーズ出ました~! これは2018年11月にポルトガルで乗ってきたんですけど、3シリーズは何代目になるのか(7代目)、BMWの中でも4番バッターで、3シリーズこそ「The BMW!」って感じですよね。

BMW330i Mスポーツ全体画像

新3シリーズで何が変わったのか?と、ポルトガルでの試乗会へ行ったときにエンジニアと話をしたりカットモデルを見て思ったのは、渋いところを突いてきたな!って。

BMWからはすでにZ4が出ていて、それが「トヨタ・GRスープラ」と同じだということが話題になっていますが、実はZ4とこの3シリーズは同じアーキテクチャーで作られているんです。

試乗する清水和夫

プラットフォームの最近の概念は、「フロントセクション」と「リヤアクスル」「フロア」と、大体どのメーカーもこの3つに分けています。ポルシェでも新しいタイプ992型の991も「フロント/フロア/リヤ」と3つのモジュールで組み合わせるというようなモジュラー戦略をとっています。

このBMW3シリーズも同じで、ステアリングホイールから前側はZ4とほとんど一緒。2Lターボの直列4気筒エンジンの縦置きにしても、サブフレームからエンジンの搭載位置、フロントサスペンションのピボットの位置、全部一緒ですから、前側は実はZ4と共通なんです。

BMW330i Mスポーツのリヤスタイル

さらに3シリーズに対して言えば、まぁコチラはオープンではありませんが、ルーフのあたり、より高いところを軽い素材に変えることによって、約10mmほど相対的な重心点を下げることに成功していると言われています。

それと合わせてトレッドを広げたことで重心が下がり、イコール、ロールセンターと重心点の関係がよりレーシングカーに近くなった感じ。しかも、トレッドを広げるとロール剛性が上がるので、サスペンションを固くしなくてもよりダイナミックに、水すましのように路面に吸い付く…、そんなイメージのクルマになるんですね。

■賢い「トルコンAT制御プログラム」!

エンジンは2Lターボですが、トルクは400Nmも出ています。これに8速トルコンATと組み合わせは、低速の乗りやすさと高速の使い勝手の良さにつながりました。8速トルコンATが良いかどうかというものではなく、新3シリーズでのポイントはATの制御プログラムが優れていることです。

BMW330iMスポーツのエンジン

アクセルペダルをバーンと蹴っ飛ばし最大限にエンジンが上がっても、ガクッとならないんです。エンジン回転をコンピューターが上げて、そこに低いギヤでミートさせるのですが、数十回転の誤差もなくピタンとミートできるんです。イメージでいうと6速からいきなり2速に入ったような感じでも、ミートするときによくあるガクッ!ていうのがない。それはきめ細かいプログラムと精密・正確な制御、ここに尽きると思いますね。

BMW330i Mスポーツのフロントフェイス

■近未来の自動運転へ向かってふたつのワード、「イース」と「ブースト」

BMWは現在、アダクティブ・クルーズコントロールとかこれから自動運転系に行くときに「Easy(イージー)」のイース、「Boost(ブースト[ターボの])」のブースト、このふたつの言葉を使い分けています。

例えば退屈な渋滞のときはイース・モードで自動で走る。ワインディングでドライバーがハンドル握って走ったほうが楽しいだろうな~!というときはブーストモード、つまりマニュアルモードになるということ。レベル3でシステムが運転するか、レベル2でドライバーが運転するか…。BMWではイースト・モード、ブースト・モードという考え方を持っています。

BMW330i Mスポーツのインパネ

しかしまぁ、乗ったときに真っ先に感じたのは、ハンドルが太い! ステアリングホイールからなにか主張っていうのが伝わってきます。実際に、ステアリングがこれ以上車線から逸脱しないように電動パワステが反対側に反力で切ったりするんですけど(レーン・ディパーチャー・ウォーニング)、そのステアリングの反力がメチャクチャ強い!

ステアリング周りにひとつの意思を持っていますね。ここに神が宿っているというか…そんなクルマが「BMW330i Mスポーツ」です。

【頑固一徹 総合評価】(5段階評価)
★★★★★

【頑固一徹 評価ポイント】(5段階評価)
パワートレイン:和和和和和 5点
シャシー性能:和和和和和 5点
インターフェース:和和和和 4点

(試乗:清水和夫/アシスト:永光 やすの/取材協力・ビー・エム・ダブリュー)

【SPECIFICATIONS】
車名:BMW 330i Mスポーツ
ボディサイズ:全長4715mm×全幅1825mm×全高1430mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1630kg
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
エンジン排気量:1998cc
最高出力:190kW(258ps)/5000rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/1550〜4400rpm
トランスミッション:8速スポーツAT
駆動方式:後輪駆動(RWD)
サスペンション:F ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット/R 5リンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク/Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:F225/45R18 R255/40R18
車両本体価格(税込):6,320,000円

【清水 和夫 プロフィール】
1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業

清水和夫プロフィール

1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースに参加する一方、国際自動車ジャーナリストとして活動。自動車の運動理論・安全技術・環境技術などを中心に多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとして多数の出演経験を持つ。

【頑固一徹試乗とは?】
国際モータージャーナリスト、清水和夫が斬る試乗インプレッション『頑固一徹テスト』。頑固一徹・清水和夫が独自の目線でチョイスした新型モデルを、パワートレイン、シャシー性能、ヒューマンマシンインターフェイス(HMI)の3分野で評価、採点し、その合計点によって5段階で評定します。

■頑固一徹 総合評価指数
1〜3点→★(評価1)
4〜6 点→★★(評価2)
7〜9点→★★★(評価3)
10〜12点→★★★★(評価4)
13〜15点→★★★★★(評価5)

■頑固一徹テスト 試乗インプレッション 価軸(3項目)&評価ポイント
パワートレイン 5段階評価(1〜5点)
シャシー性能 5段階評価(1〜5点)
ヒューマンマシンインターフェイス 5段階評価(1〜5点)

【関連リンク】

StartYourEngines HP
https://www.startyourengines.net
国際モータージャーナリスト、清水和夫が主宰する自動車専門動画ウェブメディア。クルマの限界性能と安全性を徹底的に試すダイナミック・セイフティ・テスト(DST)を始め、国内外の新車インプレッション、注目度の高まる先進安全技術、自動運転など、クルマに関するあらゆるジャンルの動画をサイトアップしています。ぜひぜひ!チャンネル登録のうえご視聴ください。

StartYourEnginesX
https://www.youtube.com/user/StartYourEnginesX

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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