●ヨーロッパではカーシェアリングがさらに拡大、普及へ
コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化をキーワードにした「CASE」は、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)が提唱し、「MaaS(Mobility as a service)」とともに盛んに使われるようになりました。
フォルクスワーゲンは、シェアリングと電動化の新しいビジネスを開始しました。2018年に発表された事業で、カーシェアリング分野に参入し、ベルリンで「WeShare」サービスを開始。
カーシェアリングサービスに使用されるのは、1,500台のEVであるe-Golf(e-ゴルフ)で、グリーン電力のみで運用されるそうです。さらに2020年には500台のe-up!(e-アップ!)が、さらに年央には新発売の「ID.3」が追加される予定。
「WeShare」は、貸出ステーションを設けない「フリーフロート」型と呼ばれる方式を採用し、アプリを介してデジタル運用されます。「WeShare」サービスは、2020年にはフォルクスワーゲングループのブランド・シュコダと共にプラハで、その後はハンブルグへ 拡大していく予定としています。
当初、「WeShare」のサービスは、市内中心部からSバーンという市内を走る環状線の範囲を少し越えた、約150キロ平方メートルのエリアで開始されます。その後、車両台数の拡大に合わせてエリアも広げる予定。サービス開始当初は、1分間当たり19セント、登録料無料という料金設定になっています。9月以降は3種類の料金体系を提供し、その平均料金は1分間29セントになります。
同サービスを利用するには、スマホとクレジットカードを所有し、年齢は21歳以上で運転免許証取得後少なくとも1年間経っており、ドイツで住民登録をする必要があります。「WeShare」はベルリン市内の一般用充電ネットワークで車両を充電。これには、ドイツのスーパーマーケット、リドル(Lidl)とカウフランド(Kaufland)の70の店舗に新設される充電ステーションが含まれます。
「WeShare」により、フォルクスワーゲンのコネクテッドカー戦略である「Volkswagen We」エコシステムに魅力的なモビリティサービスが追加されることになります。ドイツにおけるカーシェアリングのユーザー数は2010年と比較して14倍に増加し、2010年にカーシェアリングの登録数は約18万人でしたが、今年の初めまでにその数は246万人にまで増加しているそうです。
ドイツ自動車メーカーのカーシェアリングは、メルセデス・ベンツとスマートを使うダイムラーの「car2go(カーツーゴー)」、BMWの「DriveNow(ドライブナウ)」などのほか、ドイツ鉄道なども参入していて、日本と比べて路上駐車がしやすい環境にある欧州では、「フリーフロート」型の運用がしやすく、カーシェアリングはさらに拡大、普及すると予想されています。
(塚田勝弘)