停車直前で自動的に車高が下がって足着き性アップ! 短足ライダーの悩みを解決する魔法の新型サス【人とくるまのテクノロジー展2019 横浜】

◼️発進すると車高がアップして車両姿勢を自動的に最適化する電子制御式車高調整技術

●SHOWA EERA HEIGHTFLEX(ショーワ・イーラ・ハイトフレックス)

筆者を含む多くの中年ライダーにとって、バイク選びの悩みのタネの一つが足着き性です。

最近、世界中で流行しているアドベンチャーモデルですが、シート高が高くて足が届かないから購入を諦めた、という方も多いのではないでしょうか。足着き性を良くするためにサスペンションのストロークを伸ばすと、車高はどうしても高くなってしまいます。走破性と足着き性は相反する要素なのです。


そうした問題を解決するために、ショーワが開発しているのが電子制御式車高調整ショックアブソーバー「SHOWA EERA HEIGHT FLEX(ショーワ・イーラ・ハイトフレックス)」です。車両に装着されたストロークセンサーが走行中の車高を検知して、車両停止時には自動的に車高を低くし足着き性を大幅に向上させます。

一般的なバイク(写真上)の場合、どんな車速でも車高は一定です。一方、「ショーワ・イーラ・ハイトフレックス」装着車(写真下)の場合、車速に応じて車高が上下します。

ユニークなのは車高を上下させる方法です。スプリングプリロードを変えるための油圧ジャッキを備えており、走行開始後に車高を上げる際は、走行中のダンパー伸縮を利用してそこにオイルを送り込む「セルフポンピング機能」によってスプリングのプリロード高を高めます。一般的な舗装路であれば、30秒程度で上昇が完了します。

一方で停車する際は、電子制御式の油圧バルブの動作によって油圧ジャッキ内のオイルをリザーバータンクに逃がしてやることで、車高を下げます。その時間は約1秒という早業です。

また、走行中はライダーの体重、一人乗り・二人乗り、荷物の積載量など様々な状況において、適切な車高となるよう自動的に制御されます。

一般的なローダウン仕様のバイクはサスペンションストロークが縮められているため、走破性が少なからず犠牲になってしまいます。そうした懸念も、このシステムならば無用です。

一刻も早く製品化してほしい!というライダーの声がたくさん聞こえてきそうですが、その恩恵にあずかれるのは2021年以降になりそう。軽量・小型・省電力・低コストも特徴なので、多くのバイクに採用されることを期待しましょう。

(長野達郎)