【新車】次期VW・ゴルフはマイルドハイブリッド化。そのディテールが見えた!

●次期ゴルフのパワートレインはマイルドハイブリッドを組み合わせたダウンサイジングターボ+DSG

現在、欧州の自動運転メーカーは2020年までにメーカーの平均値として、95g/km のCO2排出量に抑えるべくテクノロジーを進化させています。その基本となるのが電動化です。遠くない将来、純粋なエンジン車はなくなり、すべて電動車両になると予測されています。

電動車両といっても、100%電気自動車(欧州ではバッテリーEVを省略してBEVと呼ばれています)に変わるというわけではありません。近距離であれば電気だけで走ることのできるプラグインハイブリッド(PHEV)も選択肢のひとつですし、コストの厳しいカテゴリーではISG(インテグレーテッドスタータージェネレーター≒モーター機能付き発電機)を利用したマイルドハイブリッドも有効な手段といわれています。

新しいBEVブランドといえる「ID.」シリーズを立ち上げ、ゴルフやパサートなどではPHEVも展開しているフォルクスワーゲンですが、それだけでは95 g/kmという厳しい規制をクリアすることは難しいといえます。普及帯のモデルに電動化をすることでCO2排出量を減らすことが求められます。

その答えは「mHEV」と名付けられた48Vのマイルドハイブリッド機構にありました。次世代の8代目となるゴルフに、ISGとリチウムイオン電池を組み合わせた「mHEV」を搭載することを同社が発表しました。

ISGというのは従来のジェネレーター(発電機)を場合によってはエンジンスターターや駆動のアシストに使おうといものです。けっして珍しい機構ではなく、日本車でいえばスバルのe-BOXER(ハイブリッド)やスズキの軽自動車などに採用されている技術です。

ただし、フォルクスワーゲンの場合はmHEVのシステム系を48Vと高圧にしていることが特徴。自動車の電装系としては高電圧でありながら、高電圧としての特別な対策が不要とされる48Vはコストとメリットのバランスが優れているという判断といえます。また、フォルクスワーゲンではISGと呼ばずに「BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)」としています。

BSGが持つメリットのひとつはエンジン始動時にノイズや振動がほとんど発生しないことで、走行中にエンジンのオン/オフを頻繁に行なっても快適性を損なわないのが特徴です。mHEVを採用すると宣言された次期型ゴルフにおいても「FMAモード」といってアクセルオフとほぼ同時にエンジンを停止させ、燃焼消費ゼロで空走させることができるといいます。いわゆる「コースティング走行」のメリットをさらに高める制御が可能というわけです。またBSGにより減速エネルギーの最大40%を回収することができるということです。

パワートレイン全体のパッケージとしては、1.0Lもしくは1.5LのエンジンとDSGを組み合わせるという従来のコンビネーションにmHEVをプラスするというものになるとアナウンスされました。内燃機関の効率アップだけで劇的なCO2削減効果が期待できない現状において、コストバランスに有利なmHEVが次世代の主役になるといえそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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