■賛否両論!? 新型KATANAはカタナの正統後継者と言えるのか?
●KATANA会元副会長の第一印象は「これはアリでしょ!」
スズキGSX1100Sカタナ。
空気を切り裂くようなシャープなシルエットを持つ初代カタナは、バイク好きのみならず多くの人に知られる名車だ。
初代カタナが登場したのは実に39年前、1980年のドイツのケルンショーである。当時は今で言うネイキッドスタイルが一般的なバイクの姿だったため、突然現れた初代カタナのプロトモデルは非常にインパクトがあり注目を浴びた。しかしあまりに突飛なスタイルだったことから、多くの人は人目を引くショーモデルだろうと考えていた。
ところが翌1981年、スズキはほとんど姿を変えずに市販化し世間を驚かせたのだ。誕生に至るまでには実にさまざまなエピソードがあるのだが、長くなってしまうので、それは別の機会に。
その後、紆余曲折あって名車となった初代カタナだが、最終モデルのファイナルエディション(2000年)の販売が終了してからすでに19年が経過している。基本設計は1980年のものなので、現代のバイクと比べると心もとない部分があるのは否めない。またディメンションも今のバイクとは異なるので、乗り味や乗り方も違ってくる。誤解を恐れずに言うと、すでにクラシックバイクの部類に入っているのだ。このあたりももっと深掘りしたいので、ぜひ別の機会に。
前置きが長くなってしまったが本題に入ろう。
その初代カタナの後継モデルが昨年のケルンショーでデビューした。その名もズバリ「KATANA」。排気量の表記がないところが今風か。スタイリングは初代カタナをオマージュし現代風にリファインしたもので、両車に共通パーツなどは一切ない。それでもイメージはまごうことなくカタナであり、多くの人がその日本デビューを楽しみに待っている。
実はボクも大いに注目している一人だ。
というのも、1988年に20歳で限定解除した直後に購入したバイクがGSX750S-1カタナだったのだ。3年で4万kmほど乗ったあとにGSX1000Sカタナに、その後GSX1100Sカタナに乗り換える。そして1994年に初代カタナのオーナーズクラブ(1986年発足)である「KATANA会」に所属し1995年から9年間、副会長として関わらせてもらった経験がある。
つまり初代カタナは、ボクの人生に大きく影響を与えたバイク。それだけに後継機である新型KATANAには並々ならぬ興味があるのだ。
では、そんな初代カタナのヘビーユーザーの目に新型KATANAはどのように映ったのか。
「カッコいいじゃん!」
それがボクの第一印象だった。スラントしたノーズ、エッジが効いたタンクライン、短めのシートカウルなど、初代カタナと現代バイクの融合といった雰囲気で「なるほど、こう解釈したか」と感心する部分もあった。
実は、新型KATANAのスタディモデルは一昨年に発表されたもの。海外のバイク雑誌とデザイナーのコラボモデルで、「KATANA3.0」というネーミングだった。そのデザインをスズキが買い取り、約1年で製品化にこぎつけたのが真相のようだ。
ボクはKATANA3.0を見たときから、まわりに「コレはアリでしょ!」と言っていただけに、スズキから新型KATANAとして現れたときはビックリしつつも「早く乗ってみたい!」と感じた。3月に行われたモーターサイクルーショーで展示された実車を見てもその気持ちは変わらず、期待に満ちている。
新型KATANAの発表後、ネット上ではさまざまな反応があった。初代カタナを所有しているオーナーや憧れていた人、カタナのライバル車を愛している人、また最近免許を取ったばかりのバイク乗りまで多くの人を巻き込み、ちょっとした騒ぎになったほど。その内容は賛否両論だ。
まぁバイクは趣味のものなので好き嫌いが激しいのはアタリマエのことなのだけれど、その反応を見ているだけでも新型KATANAの注目度が高いことを感じる。
近々、スズキから車両価格と発売日が発表されるはずだ。街を走り出したらどのような評価を受けるのか興味は尽きない。今後も初代カタナと新型KATANAに関する情報を紹介していく予定なので、楽しみにして欲しい。
(文:横田和彦)