【トヨタRAV4試乗】走りを超楽しくする「ものすごい4WD」機構を採用した5代目のRAV4

●オンロードのコーナリング安定性を向上させる新しい4WDシステム

1994年、モノコックボディを使ったクロスカントリー4WDとしてデビューしたのが初代RAV4です。初代はセリカやコロナなどの主要コンポーネンツを用いた5ナンバーモデルでしたが,徐々にサイズをアップ。アメリカでの人気も上昇していきました。先代となる4代目は日本へは未導入、プラットフォームを共用するハリアーのみが販売されました。

もうRAV4の国内導入はないのかと思われていたのですが、急転直下5代目の導入が伝わってきたのです。

なによりもビックリさせられたのが、駆動方式の豊富さです。基本はFFですが、そのほかに3種の4WDが用意されるのです。ダイナミックトルクコントロール4WDの名で呼ばれる方式は、プロペラシャフト後端、デファレンシャル手前にカップリングを配する一般的な4WD。E-Fourはハイブリッド用の4WDシステムでリヤをモーターで駆動するものです。

そして注目なのが「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と呼ばれるものです。これはリヤにデフを持たず左右のトルク差を左右に取り付けられたカップリングによって行うタイプものです。まず前後に50対50で配分されたトルクのうち、リヤ側の50を左右0対100〜100対0までバリアブルにコントロールします。

オフロードコースで用意された3種の4WDを乗り比べると、どのタイプも十分な走破性を示してくれましたが、なんといっても秀逸なのがダイナミックトルクベクタリングAWDです。リヤの左右トルクが見事にコントロールされるため、オフロードでの脱出性を確保しながら素直なハンドリングを失っていないのです。

この素直なハンドリングはとくにオンロードでその恩恵を発揮します。オフロードの滑りやすい路面だと、グリップしているタイヤにトルクを配分して脱出性を向上しますが、オンロードの場合はリヤ左右のトルク配分によってコーナリングの安定性を増します。

今回はRAV4というSUVへの採用でしたが、このシステムはスポーツカーにこそ採用されるべきものだといえるでしょう。まずはSUVで様子を見て、次はスポーツモデルへの転用でしょう。

最近のトヨタの動向をみれば、ラリーカーへの採用が本命なのでしょう。現状はリヤ左右のトルク配分制御ですが、これを前後トルク配分とフロント左右のトルク配分の制御できるようにトリプル化すれば、非常にきめ細かいトルク配分が可能になります。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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