【トヨタRAV4試乗】ジワジワ広がる日本のSUVニーズに対応するトヨタ

●ユーティリティ性もしっかり確保。「トヨタらしい」SUV

マツダが国内にCX-5を導入したことで、ミドルクラスのSUVの市場は徐々に活気づいてきました。それから数年、ホンダが国内導入を止めていたCR-Vの再導入を始めたかと思えば、それに追従するかのようにトヨタがRAV4の導入を決めました。

今、日本はアウトドアブームが再来していると言われています。休日のキャンプ場はどこも満員、アウトドアショップの開店も相次いでいますし、アウトドアやキャンプをテーマとしたウェブサイトの人気も高くなっています。

そうしたなかでSUVに対する注目度も上がってきています。マツダのCX-5はライバルのなかで唯一のディーゼルエンジン搭載車ということで独自路線を歩んでいますが、トヨタのRAV4とホンダCR-Vはガソリン&ガソリンハイブリッドということで、よりライバル要素が強くなっています。

大きく異なるのはCR-Vには3列シートが用意され、RAV4には用意されないことでしょう。

RAV4のパワーユニットは2リットルのピュアガソリンエンジンと、2.5リットルのガソリンエンジン+モーターのハイブリッドの2タイプです。普段使いならばハイブリッドがおすすめです。低速での力強さはハイブリッドのほうが上で、粘り強い走りができます。また燃費面を見てもハイブリッドはWLTCモードで20.6km/Lとピュアガソリンの15.2km/Lをはるかにしのぎます。

ただし、車両本体価格で見ると約60万円高く、燃料代で車両本体価格を埋めるのはけっこう大変そうです。

2リットルガソリンだと走りに不足を感じるかといえばそんなことはないので、少しでもパワーを少しでもトルクを……という考え方でなければ2リットルガソリンのほうがいいでしょう。

試乗車として用意されたモデルはアドベンチャーと呼ばれるグレードで、ミッションはCVT、4WDシステムは前後に50対50で配分されたトルクのうち、リヤ側の50を左右0対100〜100対0までバリアブルにコントロールするダイナミックトルクベクタリングAWDです。

エンジンは軽快に吹け上がるタイプで低回転からしっかりトルクを発生しつつ、高回転までしっかりとトルクが付いてくるタイプのものです。フロントにストラット、リヤにダブルウィッシュボーンのサスペンションはよく動きロードホールディングも高いレベルです。加えて、ダイナミックトルクベクタリングAWDによって、リヤ左右の駆動トルクが上手にコントロールされ、少ない舵角でしっかりとコーナリングしていくので、オンロードではかなりスポーティな走りを披露します。

ただひとつ残念なのがミッションがCVTであることです。私はCVT否定派ではないのですが、RAV4の軽快な走りとCVTのフィーリングはミスマッチでした。

ラゲッジルームはフロアボードをフラットな状態で使うこともできますし、少しでも容量をアップするために下段に移して使うこともできます。下段に移した状態では定員乗車状態で580リットルのラゲッジ容量を確保。従来レクサスブランドでのみ使われていたハンズフリーパワーバックドア(リヤバンパー下に足を入れることでバックドアが開く機構)も採用されるなど、ユーティリティ性もしっかりと確保。

近頃、ユーティリティ性の低いSUVが多いなか、SUVとしてのしての魅力をしっかり持たされているという印象です。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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