雨に翻弄されてもポイント獲得のModulo EPSON NSX-GT【SUPER GT2019】

■コンディションは最悪ながら10位を死守したModulo EPSON NSX-GT

4月14日に岡山国際サーキットで決勝レースが開催されたSUPER GT 2019の開幕戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE」。

前日の予選でGT500クラスの13番グリッドとなってしまった64号車Modulo EPSON NSX-GT。しかしリアミッドシップと言う車両特性から雨のレースでは強さを発揮できると予想されるNSX-GT勢の一角となるModulo EPSON NSX-GTですから上位進出への期待は捨てられません。

そのため決勝レースが始まる直前のウォームアップ走行では入念にレインタイヤの用意を行います。

スタートドライバーは牧野任祐選手。過去にGT300、GT500の両クラスにCドライバーとしてスポット参戦をしたことがありますが、フルシーズン参戦は今年度が初めて。

14時30分、フォーメーションラップに続いてレーススタートとなりますが、雨の影響でセイフティーカー(SC)スタートとなります。SCが先導し、ある程度の安全性が確認されてからのレーススタートで、SCが走る間は一切の追い越しは禁止。そのSCは3周で解除となり4周目から本格的にレーススタートとなります。

しかしそのスタート直後、GT300クラスで2台が絡むクラッシュ発生によりすぐさまSC導入。解除は11周目でここから一気に前へ出て行こうとするModulo EPSON NSX-GT。このSC解除後にすぐ前にいたライバルが第1コーナーでコースアウトを喫し後方15位まで順位を下げ、Modulo EPSON NSX-GTは順位をひとつ上げていきます。

しかし13周目にまたもやGT300で接触からの複数台によるクラッシュがモスSコーナーで発生。SC導入がなされますが、その後にアクシデント処理のために赤旗掲示でレースは中断となります。

15時45分にレースは再開されます。しかし、またもやアクシデントが発生。なんとGT500のトップ争いをしていたNSX-GT勢の2台が接触しトップがスピンを喫して4度目のSC導入。SC導入中に今度はGT300マシンが単独でクラッシュをするなど、雨の状況が危険な状態となってきたことにより2度目の赤旗中断となってしまいます。

そして赤旗中断中の16時45分、この赤旗を以ってレースの終了が宣言されます。上位の脱落やペナルティーなどもありModulo EPSON NSX-GTは10位の順位を獲得しました。なお規定周回数の75%未満でレースが終了したためにドライバーズポイントは半分となり、0.5ポイントを獲得しています。

このレースの終了について中嶋悟監督は「いろいろと賛否はあるとは思いますが、安全を省みれば正しい判断」と語っています。

この激しい雨の中、マシンを守り抜いて生き残った牧野任祐選手は「タイヤに全く熱が入るタイミングが無くコースに留まることだけで精一杯な状態でした。しかしクラッシュが続出する中にあってトラブルを起すことなくレースを終えることが出来たのはよかったと思います」と語ります。

今回決勝レースを走ることが出来なかったナレイン・カーティケアン選手は「次戦の富士は相性がいいのでいい結果が期待できます」と語っています。

レース直前の富士テストでは好調の様子であったModulo EPSON NSX-GT。次戦の富士500kmレースでは上位進出を狙えるのではないでしょうか。

Modulo陣営の両クラスのマシンの活躍に目が離せません。

(写真:吉見幸夫、松永和浩 文:松永和浩)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
続きを見る
閉じる