【TOYOTA新型RAV4画像ギャラリー&Spec】世界180カ国で販売する新型RAV4はもう「なんちゃってヨンク」ではない!?

■北米でもっとも売れるSUV「トヨタRAV4」

ピックアップトラックを除くと北米でナンバーワンの売り上げで、国連加盟国数がおよそ190カ国ちょっとという中、世界180カ国という事実上の世界中で販売されるというトヨタRAV4。今回デビューした新型RAV4は1994年登場の初代から数えて5代目で、2つのパワーユニットと3つのAWDシステムを採用し、日本では2016年の販売停止以来3年ぶりの再登場となりました。

個人的な思い出になりますが、1994年5月初代RAV4デビューの発表会会場である池袋にあったトヨタアムラックスビルで私は初めてRAV4を目にしました。そのころは「空前のRVブーム」は過ぎていたと思いますが、まだまだ「4WD」「ヨンク」と言えば特殊なイメージで、クロカンタイプか、ラリー車タイプ、もしくは農業や林業、降雪地域の生活車のイメージしかありませんでした。SUVってワードもまだなかったと思います。

そこに現れたのは、都会的な4WDです。CMにキムタクを起用し、泥臭さや汗臭さ、生活臭は漂いません。「はあ? こんなクルマのどこに需要があるの?」と思い、近くの説明員の方に、「どんな人が乗る想定ですか?」とお聞きしました。
すると答えは「様々な人です。例えばロードスターに乗っているような…」とお聞きして、「うわ、この人何言ってるの? 車高の低いFRのオープンスポーツカーとなんの共通項もないのに、クルマのことわかってない人に聞いちゃったかな…」と心の中で軽く蔑んでました。

しかし、初代RAV4はCMキャラクターの人気同様、その後ヒット作となりました。2ドアで非日常のイメージを根付かせ、その後4ドアを追加して実用性もアップ。これがさらに拍車をかけ、特化したイメージを持たない4WDは完全に市民権を得ることとなります。

私は完全に敗北感を感じていました。クルマを選ぶ人の気持ちがわかってなかったのは私の方だったんです。普段公道を走るクルマを選ぶのに、「本格」は必要なく「本格派」であればよかったんです。ロードスターだって考えてみればカリカリのスポーツカーではなかったからのヒットだったはずでした。

と、私の反省はともかく、初代RAV4は当時の本格クロカン4WDの走破性能は持たないけれど大ヒットとなった反面、「なんちゃってヨンク」なんて呼ばれ方も生み出しました。

その後、進化を遂げてゆくRAV4ですが、ヨンク性能のアップのためではないでしょうが3代目を持って日本では発売を中止されます。北米をはじめ、世界中では大ヒットの4代目は日本市場には投入されませんでした。

24年の時を経た2018年4月、5代目RAV4はニューヨークショーで私の目の前に現われました。あの頃の恥ずかしい思い出が蘇りながら「立派になって嬉しいよ」と勝手に親心のようなものを抱きつつ、それはもう見たことないほどのプレスカンファレンスの最後席で見守りました。そう、日本で見ることのなくなった車種は、販売も性能も世界のトップグループに属するクルマになっていたのです。

そして、2019年3月、北海道士別のテストコースでそのAWD性能を味わい、詳細に説明をお聞きしました。

4WDの性能は「オフロード走破性」をイメージしがちですが、現在はそれだけではありません。というより、乗用車のAWDの狙いはそこじゃないんです。天候や路面状況に依らない安定性と安全性、どこへでも出かけられるイメージと実際の走破性、そして走る楽しさへシフトしているのです。

新型RAV4はそれを超えるべくその販売台数に見合う全力で開発され登場したのです。

新型RAV4は、もう「なんちゃってヨンク」ではありません。けれど、昔でいう「本格ヨンク」でもありません。では、どんな呼び方になるのか? 私はそういうニックネームやジャンルは生まれない気がしています。だって、これが普通でスタンダードなクルマの方向性になっていく気がするからなのです。

(写真:前田惠介/文:clicccar編集長 小林 和久)

<新型RAV4主要グレード諸元>

【Adventure】

車両型式:6BA-MXAA54-ANXVB
駆動方式:4WD
車両重量:1,630kg
車両総重量:1,905kg
最小回転半径:5.7m
燃料消費率(国土交通省審査値)
WLTCモード:15.2km/L0
市街地モード:11.5km/L
郊外モード:15.3km/L
高速道路モード:17.5km/L
主要燃費改善対策:筒内直接噴射、可変バルブタイミング、電動パワーステアリング、自動無段変速機
全長/全幅/全高:4,610/1,865/1,690mm
ホイールベース:2,690mm
トレッド フロント/リヤ:1,595/1,615mm
最低地上高:200mm
室内 長/幅/高:1,890/1,515/1,230mm
乗車定員:5名
エンジン型式:M20A-FKS
総排気量:1.986L
種類:直列4気筒
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
内径×行程:80.5×97.6mm
最高出力〈ネット〉126kW(171PS)/6,600rpm
最大トルク〈ネット〉:207N・m(21.1kgf・m)/4,800rpm
燃料供給装置:筒内直接+ポート燃料噴射装置(D-4S)
燃料タンク容量:55L
サスペンション フロント/リヤ:マクファーソンストラット式コイルスプリング/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
ブレーキ フロント/リヤ:ベンチレーテッドディスク/ディスク
トランスミッション:Direct Shift-CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)
変速比 ギヤ機構部:前進3.377/後退3.136
無段変速部:前進2.236〜0.447
減速比:4.262
価格:3,137,400円

 

【X】

車両型式 4WD/2WD:6BA-MXAA54-ANXMB/6BA-MXAA52-ANXMB
車両重量 4WD/2WD:1,570 kg/1,500kg
車両総重量 4WD/2WD:1,845kg/1,775kg
最小回転半径:5.5m
燃料消費率(国土交通省審査値)
WLTCモード 4WD/2WD:15.2km/L/15.8km/L
市街地モード 4WD/2WD:11.5km/L/11.9km/L
郊外モード 4WD/2WD:15.5km/L/16.1km/L
高速道路モード 4WD/2WD:17.4km/L/18.1km/L
主要燃費改善対策:筒内直接噴射、可変バルブタイミング、電動パワーステアリング、動無段変速機
全長/全幅/全高:4,600/1,855/1,685mm
ホイールベース:2,690mm
トレッド フロント/リヤ:1,605/1,625mm
最低地上高:195mm
室内 長/幅/高:1,890/1,515/1,230mm
乗車定員:5名
エンジン型式:M20A-FKS
総排気量:1.986L
種類:直列4気筒
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
内径×行程:80.5×97.6mm
最高出力〈ネット〉126kW(171PS)/6,600rpm
最大トルク〈ネット〉:207N・m(21.1kgf・m)/4,800rpm
燃料供給装置:筒内直接+ポート燃料噴射装置(D-4S)
燃料タンク容量:55L
サスペンション フロント/リヤ:マクファーソンストラット式コイルスプリング/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
ブレーキ フロント/リヤ:ベンチレーテッドディスク/ディスク
トランスミッション:Direct Shift-CVT(ギヤ機構付自動無段変速機)
変速比 ギヤ機構部:前進3.377/後退3.136
無段変速部:前進2.236〜0.447
減速比:4.262
価格:2,608,200円

 

【HYBRID G】

車両型式:6AA-AXAH54-ANXGB
駆動方式:E-Four(電気式4輪駆動方式)
車両重量:1,690kg
車両総重量:1,965kg
最小回転半径:5.5m
燃料消費率(国土交通省審査値)
WLTCモード:20.6km/L0
市街地モード:18.1km/L
郊外モード:22.4km/L
高速道路モード:20.7km/L
JC08モード:25.0km/L
主要燃費改善対策:筒内直接噴射、可変バルブタイミング、電動パワーステアリング、ハイブリッドシステム、アイドリングストップ装置、充電制御、電気式無段変速機
全長/全幅/全高:4,600/1,855/1,685mm
ホイールベース:2,690mm
トレッド フロント/リヤ:1,605/1,625mm
最低地上高:190mm
室内 長/幅/高:1,890/1,515/1,230mm
乗車定員:5名
エンジン型式:A25A-FXS
総排気量:2.487L
種類:直列4気筒
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
内径×行程:87.5×103.4mm
最高出力〈ネット〉131kW(178PS)/5,700rpm
最大トルク〈ネット〉:221N・m(22.5kgf・m)/3.600~5,200rpm
燃料供給装置:筒内直接+ポート燃料噴射装置(D-4S)
燃料タンク容量:55L
サスペンション フロント/リヤ:マクファーソンストラット式コイルスプリング/ダブルウィッシュボーン式コイルスプリング
ブレーキ フロント/リヤ 作動方法:ベンチレーテッドディスク/ディスク/油圧・回生ブレーキ協調式
トランスミッション:電気式無段変速機
減速比 フロント/リヤ:3.605/10.781
フロントモーター
型式:3NM
種類:交流同期電動機
最高出力:88kW(120PS)
最大トルク:202N・m(20.6kgf・m)
リヤモーター
型式:4NM
種類:交流同期電動機
最高出力:40kW(54PS)
最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
動力用主電池
種類:ニッケル水素電池
容量:6.5Ah
価格:3,817,800円

 

<全グレード価格のみ一覧>

Adventure 3,137,400円
G “Z package” 3,348,000円
G 3,202,200円
X 2,608,200円〜
HYBRID G 3,817,800円
HYBRID X 3,202,200円〜

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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