●知らずに乗れば夏タイヤとも感じられる仕上がり
「ベクター4シーズンズハイブリッド」で日本にオールシーズンタイヤを根付かせたとも言っていいグッドイヤーが、さらなる拡大を目指して投入するのが「アシュアランス・ウェザーレディ」です。その実力はいかなるものか? ボルボXC40に履かせてそのフィーリングをチェックしました。
試乗コースは一般道です。茨城県城里町の日本自動車研究所(JARI)をベースとして、その周囲を走るというものです。駐車場から門を越えて一般道に出る際には、若干の段差がありますがそこでもショックは少なく感じます。研究所の取り付け道路を下っていくと、「アシュアランス・ウェザーレディ」がかなり静かなタイヤであることが認識でします。
「ベクター4シーズンズハイブリッド」はスタッドレスタイヤ的な“シャー”という音が出るタイヤだったのですが、「アシュアランス・ウェザーレディ」については、そうした音質は一切感じません。全体としてのパターンノイズも少なく、一般的なタイヤとして普通レベルの静かさを持っています。ステアリングを切った状態でも音の発生はよく抑えられています。
乗り心地は若干バネ成分が多い印象です。タイヤもサスペンションと同様にバネ成分とダンパー成分があり、そのバランスが大切ですが、「アシュアランス・ウェザーレディ」は若干バネ系が強く、段差乗り換え後に揺れが残る印象があります。しかし乗り越え時に“バコン”となってしまうよりはずっといいでしょう。
ハンドリングはしっかりした印象です。現代のクルマは味付けでステアリングの中立感を出していますが、リプレースタイヤである「アシュアランス・ウェザーレディ」に交換してもその中立感は損なわれていません。ビシッと中立して真っ直ぐに走っていきます。そこから少し切った際の微少舵角ではコーナリングフォースの立ち上がりがよく、スッとノーズが向きを変えます。
このコーナリングフォースの立ち上がりのよさ、以前のクルマならば大歓迎のフィーリングです。スポーティに走れますし、緊急回避性能も高くなります。中立付近のしっかり感もありますから安心です。ただ現代のクルマにはレーンキープアシストという装置が付いていることが多くレーンキープアシストとの相性の問題が発生します。
V40のレーンキープアシストを作動させ様子を見ると、作動に遅れは生じませんが、レーンキープしようと自動でステアリングが切られたときには、ちょっと強めのヨー(コーナリング方向の力)を感じます。比較的上級のタイヤがついているボルボV40なのでこのレベルで収まっていますが、これがステアリング操作初期のコーナリングフォースの立ち上がりが弱いタイヤが純正の場合、「アシュアランス・ウェザーレディ」に交換すると動きが急になりすぎる可能性があります。
一般道ドライレベルのハンドリングはコーナリングを含めてまったく違和感はありませんでした。装着タイヤがオールシーズンタイヤであることを意識して運転していますが、なにも告げられずにドライブしたら普通に夏タイヤを履いていると勘違いするレベルであるといっていいでしょう。
(文・諸星陽一/写真・平野 学)