平成最後の今だから、昭和後期のゼロヨン模様。トラスト、JUNのタイムは? その5【OPTION 1986年1月号より】

これが585ps、309.27km/hソアラのストリート・ゼロヨンタイムだ!
<トラスト・ソアラ ツインターボ> 5M-G改ツインターボ/13秒27

●これが普段の実力です

ドライバー:大川 光一

みんなのタイム見てから走るんだ! だってこのソアラ、ドラッグマシンじゃないんだよ。リヤタイヤ見てよ(コンプT/A60V)。ゆっくり普通にスタート。シフトアップもタコメーターの光が全部点いてから。あんまり踏めないから直進性もグーよ。

●メカニズムチェック

トラストは309.27km/hをマークした最高速用ソアラで参加。外観はフロントに純正スポイラー、リヤにボルク製の控えめなスポイラーが付いているくらいだ。またタイヤもドラッグ用などは履かず、コンプT/Aのラジアルタイヤ。室内も本革製のシート、エアコン、コンポなど軽量化は一切なし。

しかしエンジンは最高速用に作られた5M-G改ツインターボエンジンが収まっている。ピストンはアリアス製鍛造ローコンプでボア・ストロークは83×85mm。総排気量は2759cc。トラスト・オリジナルのカムシャフトとビッグバルブなどが組み込まれている。

タービンはTD06をツイン装備。これにオリジナルの大容量ウエイストゲート、排気効率の高いステンレス製エキゾーストマニホールドが装着される。キャブレーションはインジェクション仕様で補助インジェクターは3本。アクセル開度やエンジン回転数、ブースト圧などによって増量されていくシステムになっている。インタークーラーはトラスト製大型タイプ、オイルクーラーもオリジナル品だ。

サスペンションは安定性などについて定評のあるトラスト・サスペンションキットを組み込んである。最高出力はベンチテストで585ps/7500rpmと強力だ。

オーバー500psのあり余るパワー! プロペラシャフトが耐えられず、無念!!
<JUN・Z> 3.4Lツインターボ/13秒53

●とにかく残念!の一言です

ドライバー:小山 進

エンジンパワーが上がって、ホイールスピンしちゃうんでタイヤを太くしたんですけど、そしたら駆動系がね。プロペラシャフト2本折っちゃって、最後は解体屋から買ってきたヤツ使ったんだけどね。怖くてパワーがかけられないんでブーストも最低、スタートなんか1000rpmでしたよ。最後にブースト上げて1発狙ったらボキン!だもんね。

●メカニズムチェック

ボディはS30Zだが、フレームはすべてパイプで組まれ、カウルもオールFRP。エンジンがドラッグ用3.4Lツインターボと強力なため、ボディにもすべて手直しが加えられている。このエンジンはオリジナルの90mmのストロークを持つクランクシャフトを使用し、ボア・ストロークは89×90mm。ヘッドはポート、燃焼室にも手が加えられ、作用角296度のオリジナルカムシャフト、IN46、EX38.5φのビッグバルブが組み込まれている。圧縮比は8.2だ。

タービンはKKK製K26をツインで装備。インペラーハウジングは26・Gタイプ。エキソーズトハウジングは10番を使用。キャブレーションはOER50φでオリジナルのチャンバーが付く。追加インジェクターは180cc/分容量のものが6本追加されている。

インタークーラーは空冷オリジナル、オイルクーラーはウェットサンプからドライサンプに変更。油圧の抵抗を低減している。パワーバンドは4000~8000rpmでレブリミットは8000rpm。最大過給圧は1.5kg/cm2で最高出力500ps以上を発揮する。

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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