●大人のスポーティセダンとして「力を入れて開発」されたカムリWS
現行カムリが上陸して以来、北米向けに設定されているスポーティグレード「SE」「XSE」の反響が日本国内でもあったそうで、その声に応えるべくして登場したのが日本向けに新たに命名された「WS」。「WS」は「Worldwide&Sporty」を意味するとのこと。少々ややこしいですが、CMでは「CAMRY SPORTS」を謳っています。
以前お伝えしたように、「WS」導入後、カムリの勝又正人チーフエンジニアのプレゼンやお話を伺う機会があり、1台のみ導入された広報車両に乗る機会が昨年末にありました。
主査が日本に導入するなら「力を入れて開発する」と明言していたとおり、カムリWSが目指したのはカムリの特徴である「カーペットライド」と呼ばれる乗り心地の良さを大きく損なうことなく、スポーティな走りを獲得することと言っていいでしょう。
走りの注目は、ショックアブソーバーのロッドガイドブッシュ、ピストンバンド、オイルの専用開発により、ライントレース性を向上させたという点。少し足が硬くなっているのか身構えながら走りし出したせいか、カムリの美点であるスムーズな足の動きは損なわれていない印象を受けます。
試乗車は235/45R18サイズのブリヂストン「トランザT005A」を装着。乗り心地とハンドリングの両立が図られたタイヤだけに、カムリWSのコンセプトにピッタリといえそうです。
首都高速を中心に走ると、期待どおり、ライントレース性が標準車よりも高まっている印象で、フットワークにダルさはありません。それでいながら大人のスポーティセダンといえる乗り味は十分に担保されていますから、旋回性と乗り心地のバランスはなかなか絶妙。ノーマル仕様よりも少しタイヤへの当たりは硬く感じますが、後席にゲストを乗せても許容範囲といえそうです。首都高速の中低速コーナーでも走りを存分に楽しめます。
ハイブリッドであるパワートレーンは標準車と同じ。131kW(178ps)/5700rpm、221Nm/3600-5200rpmの「A25A-FXS」型直列4気筒エンジン(直噴+ポート噴射)、88kW/202Nmというモーターの組み合わせで、システム出力は211ps。「WS」は1600kg前後の車両重量ですから不足は感じさせません。さらに、WSにはパドルシフトも備わりますから、山岳路などで積極的に(容易に)シフト操作を楽しめます。走行モードも多彩で、エコ、ノーマル、スポーツ、EVから選択できます。
現行モデル登場時よりも遅れてきたカムリWSは、いきなり最上級グレードに置かれています。専用フロントマスクなどの外観に惚れて購入するのもアリといえそうです。
(文/写真 塚田勝弘)
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