パサート・オールトラックに搭載されるのは、ほかのパサートTDIモデルと同じく190ps/400Nm版の「DFC」型で、190ps/3500-4000rpm、400Nm/1900-3300rpmというアウトプットを得ています。
ティグアンTDIやゴルフ・トゥーランTDIに積まれる150ps/340Nmと比べると、中・低速域から高速域のあらゆる領域で非常に力強く、ディーゼルエンジンに期待されるトルク感はもちろん、高速道路の流れに乗って走る分には、パワーフィールも存分に感じられます。
乗り心地もヴァリアントよりもストローク感があり、パサート・シリーズで最も好印象を受けました。セダン、ヴァリアントともに、基本的には、グレード(タイヤサイズ)を問わず、微細な揺れを吸収しきれていないのが気になっていました。新型パサート・オールトラックは、多少こうした傾向はあるものの、ボディの揺れが抑えられていて、足の動きもいくらかゆったりしているように感じられます。サスペンション形式こそ同じであるものの、専用セッティングが施されているはず。
さらに、フォルクスワーゲンに期待する直進安定性の高さも美点で、一般的なSUVよりも背が低い分、高速道路の強風下でも安心して走行できます。509万9000円〜という価格設定もあってパサート・ヴァリアントシリーズではそれほど数は出ないかもしれません。それでも、プラグインハイブリッドのGTEを含めて走りの面ではベスト・バランスといえる仕上がりになっています。
(文/写真 塚田勝弘)