国際ドリフト杯は人間が審査! これからのドリフトの審査方法を考える【FIA IDC】

どっちがいいでしょうか? うーん……ひとによるかもしれないけど、個人的にはこれもFIA IDC方式かな。

DOSSの場合、まずセクター別の点を見ても「第○セクターってどこだっけ?」というところから思い出さないといけないので、瞬時には把握しにくい。しかも、セクターごとの点数配分もちがうので、そこを把握しておかないと、出来不出来が直感的にわかりにくい。ちょっとマニアックすぎる気がします。

それとDOSSのスコアのもうひとつの大きな問題は、各セクターの得点も小数点以下2桁まで表示されているので、ごちゃごちゃしていて、非常にわかりづらいことです。「ライン」とか「角度」とか直感的に分かる要素が表示されていて、しかも各項目が整数2桁までの得点となるFIA IDCのほうが、瞬間的にははるかにわかりやすい。

ただし、最高速の数値は、DOSSでは表示されるけどFIA IDC方式では表示されませんでした。これはあったほうがいいですね。盛り上がる大きな要素ですから。

というわけで、ライン指定があるとか、審査の項目別表示がわかりやすいってことで、なんかFIA IDCの単走の審査方法のほうがよかったなぁ、というのが個人的な感想でした。

でも、大きな問題も感じました、やっぱりFIA IDCの人間審査のほうは「後半にかけてだんだん点数が甘くなってきているんじゃないか?」という疑念がわいたのです。いわゆる審査基準の「ブレ」ですね。

明確な根拠はないですが、後から調べたら、上位5人がすべてBまたはCグループで走行した選手なので、やっぱり多少そういう傾向はあったんじゃないかな。心理的に最初から高得点ってつけづらいんですよね。

よく考えてみれば、「角度」とか「スタイル」って、DOSSでも採点できる要素なんですよ。じゃあ機械で計測させたほうが、ブレや贔屓が出なくていいじゃん。というわけで、なんとなく思い描く審査のスタイルとしては、ライン指定あり(これは人間が審査)、角度と速度とスタイルは機械が審査、二度振りとか振り出し時の戻りといったDOSSが苦手な部分は人間が審査、という機械と人間のミックスがいいんじゃないかな。

それから、得点表示はFIA IDCのように、できれば整数だけがいいですね。採点の明細は、セクター別ではなく「角度」とか「ライン」といった要素別のほうが納得しやすい気がします。ホントは数値だけじゃなくて、バーグラフとかも出てくれると、もっとわかりやすいなー。

私はそんなふうに感じましたが、FIA IDCを見られたかたはどう思ったでしょうか?

なお、このFIA IDC、ロシアのゴーチャ選手が優勝、2位はスイスのメイエー選手、3位はタイのエス選手と、表彰台は海外の選手が独占し、世界的なレベルの向上が表れた結果になりました。

日本勢は横井選手が練習走行でのクラッシュの影響が響いて単走で敗退。昨年の勝者・川畑選手はマシントラブルのためベスト8敗退。藤野選手はベスト8で、末永(直)選手は準決勝での敗退となりました。下の写真は、左から2位のメイエー選手、優勝のゴーチャ選手、3位のエス選手です。

それにしても、参加選手がコースに慣れるにつれてアグレッシブな走りを見せるようになっていったのは圧巻でした。ロシア人と思われるグループのゴーチャ選手への声援も大きくて、印象に残りました。国際大会は面白いですね。

(まめ蔵/写真提供:サンプロス)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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