中国資本でスウェーデン生まれ。Lynk & Coの「03」は、ボルボXC40と同じ「CMA」を採用した新型セダン

「03」を間近で見て、少し乗った限り、東(中国)、西(スウェーデン)の融合というのは何となく伝わってきました。

個人的には、フロントマスクは欧州的で、インパネデザインも欧州テイストが漂っていて、リヤビューは全体的に中国的。内装などのディテールはスウェーデンというよりも中国的なムードも漂っているように思えました。

富士スピードウェイの本コースを1周走らせる機会が得られた「03」は、XC40と同じくボルボの「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」をベースに、「Drive-E」と呼ばれるボルボ製ガソリンエンジンを搭載し、7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)との組み合わせ。駆動方式はFFで、オプションで4WDを設定するそう。

1.5Lの直列3気筒ターボにより、最高出力は180ps、最大トルクは265Nmを発揮。なお、ボルボではXC40に直列3気筒エンジンを追加するとアナウンス済みで、「Drive-E」は当初の4気筒だけでなく、3気筒もそのラインナップに加わることになります。

また、「03」はガソリンエンジンのみですが、プラグインハイブリッドが加わる予定。なお、コンパクトクロスオーバーモデルである「02」はハイブリッド、プラグインハイブリッド化されているとのこと。

つまり、ボルボもLynk & Coも3気筒エンジン、ハイブリッド(プラグインハイブリッドも含む)というシリンダーレス化、電動化で燃費、排ガス規制をクリアしていく腹づもりといえそう。

3気筒エンジンというと、音・振動面で4気筒よりも不利になるのは間違いなく、ボルボが「Drive-E」にいままで3気筒を用意してこなかったのは、こうした課題からだと推測されます。

しかし、アイドリング時から発進時、中速域くらいまでの領域では、音・振動面でのネガはほとんど抱かせず、言われなければ3気筒とは分からなかったかもしれません。

DCTのスムーズな変速も美点で、パワーフィールは3気筒と聞いてから乗ったため、思いのほか上質。エコモードでもパワー不足はあまり感じさせず、おそらくスポーツモード(表示が中国語だったのでおそらく)に入れると、グイッと力強さが増します。

富士スピードウェイの本コースは路面状態がきわめて良好ですので、乗り心地の判断はできないものの、縁石を踏んでみても足の動きは滑らかで、乗り味も上質なのは何となくうかがい知れます。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リヤはマルチリンクで、タイヤはグッドイヤーのイーグルF1を装着していました。

発進時に少し飛び出し感があり、軽めのパワステ、そしてやや大きめのロールを感じさせるシーンもコーナリングや速度によってはあるものの、旋回性も予想以上に良好で、先述した「CMA」の完成度の高さがうかがえます。1周だけでしたので断言できませんが、走りからはやはりボルボ風味であることが伝わってきました。

日本への参入は検討中だそうですが、2020年代の前半には入ってくる可能性もありそう。中国資本でスウェーデン生まれといえるLynk & Co。日本でも注目度が高まるかもしれません。

(文/写真 塚田勝弘)

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この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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