「MX-5カップカーは、徹底したイコールコンディションが図られており、エンジンやECUといった性能差につながる部分は封印され、ほぼすべてのパーツが指定されています。セッティングで差が付けられる部分も少なく、実際に手を加えられる部分はタイヤの空気圧を調整するくらいですね」
こうした徹底したマシン管理は、腕を競うステップアップカテゴリーとして必要不可欠なもので、別の見方をすれば余計な費用が発生することがない、ということにつながります。さらに、マツダによる各種サポートも充実しており、マツダ・グローバルMX-5カップは3シーズン目にして、レーシングドライバーを夢見る若手ドライバーからジェントルマンドライバーに注目されるカテゴリーへと成長したのです。
ここで、マツダ・グローバルMX-5カップカーを紹介します。
万が一の際にドライバーを守る強靱なロールケージ。
サイドウィンドウも省略されており、ネットで乗員を保護します。
日本では未導入の北米仕様2.0ℓ 直4エンジンを搭載するグローバルカップカーは、
左ハンドルと右シフトとなるのも特徴です。
タイヤはBFグッドリッチのワンメイクで、
スリックとウェットという二種類のタイヤを路面状況に応じてチョイスするのです。
今年、米国シリーズに参戦しているレーサー鹿島氏は、アメリカンモータースポーツの世界におけるマツダの功績を強く感じている、と言います。
「マツダは、インディ500を頂点としたオープンホイールの“MAZDA Road to INDY”、耐久レースやスポーツカーレースを主体とした“MAZDA Road to 24”という、ふたつのステップアッププログラムを展開してきました。こうした活動を続けてきた結果、インディカーに参戦しているドライバーの33人中25人は、マツダのステップアッププログラムを経験しています。インディカーに供給されているエンジンはシボレーとホンダだけなので、凄いプログラムだと思います。残念ながら、MAZDA Road to INDYは今シーズンで終わってしまいますが、アメリカンモータースポーツの世界におけるマツダの功績は、とても大きなものです」
さらにマツダは、レーシングカーを操るドライバーを育てる、つまりアスリートを育てることが自動車メーカーの役割であり、それがBe a driver.の精神なのだと断言しています。
「北米マツダの毛籠勝弘社長兼CEOに昨年の世界一決定戦でお話を聞きました。自動車メーカーはエンジンを作り、クルマを作ることを生業としていますが、マツダがインディカーのドライバーをサポートするのは、Be a driver.という企業方針によるものということです」