アウディA8は重さを気にせずに作られたクルマではありません。初代で採用されたアルミを多用したフレーム構造であるASF(アウディ・スペース・フレーム)はこの4代目でも継承。軽くすることを念頭に置いたクルマ作りをしているにも関わらず、この重さとなっています。
ロールス・ロイスは重さを武器にした乗り心地ですが、アウディA8は違います。2トンという重さを隠すためにハイスペックなエンジンがあり、足まわりがあるのです。
ワインディングに持ち込むと、その重さ、その大きさ、そのホイールベースの長さを感じさせないピュアな走りを披露します。コーナーに飛び込んでステアリングを切り込むとまるでスポーツセダンのように、安定したコーナリングを披露してくれます。A8のサスペンションはエアサスですが、多くの人がエアサスに対して思っているような、正確さにかけるようなものではなく、ステアリング操作に対するクルマの動きは正確無比です。
今回は高速道路を走る機会はなかったのですが、有料道路のフラットなストレートでは優雅な乗り心地も披露してくれました。
後席の広さはもちろん文句なしのレベルを確保してます。A8にはホイールベースが130mm長いA8Lも用意されますが、こちらは完全なるショーファードリブンとなるでしょう。ドライブしても、後ろに乗っても満足できるフルタイム4WDのビッグセダン、これは世界的に見てもまれな存在と言えるでしょう。
最後に珍しい装備を見つけたので紹介しておくと、リヤのパワーウインドウスイッチは、左右どちらも操作できるものが装備されていました。サブスイッチを操作することで、サンシェードの開閉にも使えるので、こうした装備になっているのでしょうが、これはあまり見かけることがありません。
(文・写真/諸星陽一)