シャシー性能は非常に高いものを感じます。ここ3代くらいのクラウンに乗ったことがない人は、たぶんクラウン・イコール・柔らかい不安定な足まわりという先入観を持っているでしょうけど、クラウンの足まわりはどんどん締め上げられていてとくに13代目以降のクラウンはかなりの高レベルのシャシーが与えられています。
試乗車はグレードが異なり、採用される制御デバイスも異なるのですが、どのモデルでも基準となるシャシー性能は高いものです。なかでもRS系であった2リットルモデルは、電子制御の可変ダンパーを採用したAVSが装着されます。モードをスポーツS+にすれば、コーナーを攻めるような走りも十分にこなします。AVSはパワーユニットに関わらず、RSグレードには装備されますので、3.5リットルハイブリッドならば、ビックリするような走りができるかも知れません。
コネクティッドの部分ですが、これはあまり試す機会がありませんでした。決め手となるのはDCMを標準で搭載し常時通信を行いクルマが単独で走行しているのではなく、まるで飛行機の管制システムのような状態になっているということ。
ナビゲーションをはじめ、さまざまな機能がオペレーターを通して行えるほか、路車間通信なども充実。万が一の事故の際には自動的にオペレーターに配信され、救急車やドクターヘリの手配まで行われます。さらに、車両情報についても通信され、エンジンオイルの量や定期点検のお知らせなどがディーラーから行われるほか、警告灯点灯時の処置方法のアドバイスなども行われるという至れり尽くせりの情報サービスが用意されています。
クラウンのユーザー層若返りに一体なにが必要なのか? の答えはきっと簡単には出てこないことでしょう。ただひとつ言えるのは愚直にいいクルマを作ればユーザーはついてくるということではないでしょうか?
それともうひとつ、そろそろクラウンを世界デビューさせてはいかがでしょう。やっぱり世界に出して世界のユーザーに磨かれないと光りきれないのではないと思います。日本には全幅1800mmの素晴らしいクルマがある……ということはきっと通じるはずです。新型クラウンにはそのポテンシャルがあると感じられた試乗でした。
(文・写真:諸星陽一)