昨年、ダイムラーの乗用車部門の年間販売台数は約242万台、そのうち、メルセデスベンツは約229万台で、対前年比9.9%の伸びだったといいます。
実はメルセデス、去年に限らずここ数年は年1割ペースの台数増をみせているわけですが、その原動力となっているのはやはりFF系モデルの台頭でしょう。ちなみに昨年の販売台数は62万台余と、全体の1/4以上を占めるほど。CLA&GLAクラスといった新基軸も堅調のようで、ライフ末期となったA&Bクラスをうまく支えているようです。
個人的には先代Aクラスまでのサンドイッチ構造プラットフォームにエンジニア面での尊さを感じるのですが、中国などの新興市場でもコンパクトカーの需要が伸びつつあるある現況からいえば、生産性と発展性が高く様々な車体形状にも対応しやすいMFAプラットフォームへの転換は大成功だったといえるかもしれません。
というわけで、FFファミリーの中核にいるAクラスが6年ぶりのフルモデルチェンジを受けて4代目となりました。
サイズは全長&ホイールベースがやや伸びて、このクラス=Cセグメントのベンチマークであるゴルフに対してはひと回り大きくなった印象です。これにより居住性や積載性を改善したわけですが、同時に取り組んだのはピラー形状や配置の工夫による視界特性の改善でして、これによって先代に比べるとひと回りルーミーで車両感覚の把握しやすいクルマになっています。加えて全幅が1800mmに収められたのは立体駐車場を多用する日本のユーザーにとっては有り難いことといえそうです。
新型Aクラスのアーキテクチャーは先代のMFA型の改良版となるもので、アルミやハイテン鋼などの材料置換による軽量高剛性化を進めた結果、静的な捻れ剛性は先代比30%の向上をみています。サスペンション形式は従来の前ストラット&後マルチリンクをリファイン。それに加えて新たに設計されたトーションビームを採用しています。これはベーシックグレード向けに廉価と堅牢さを両立するのはもちろん、バッテリーなど搭載物の増える電動化を見据えて省スペース化をはかっておきたいという思惑があるはずです。