そして脚周りはいわゆる微小入力領域でのダンピングがしっとり効いており、中〜大入力では車体姿勢をきっちりフラットに保とうとする、かなりメルセデスらしい味付けになっています。内装の仕立ても先代からは大幅にジャンプアップしており、もしFFだのFRだのというところに拘りのないユーザーであれば、わざわざCクラスを選ぶ必要はないかもと思わせる上質さを感じさせてくれるといえるでしょう。もっとも、今回の試乗車はグレード構成の関係上、すべて後輪がマルチリンクだったことは付け加えておきます。
エンジンの特性は1.3Lの側は刺激はなくも低回転からきっちりトルクを発しつつ、こっちの期待値に対しては額面通りに仕事をこなしてくれる、まぁメルセデスらしいっちゃあらしい仕上がりです。但し音・振動に関して敢えて優劣をつけるなら、うんとスポーティに躾けられた2Lの方がむしろ洗練されていました。これは初出かリファインかの洗練度の違いもさることながら、エンジン本体の可変機構や補機類などの作動音も影響しているかもしれません。
備わるスポーティネスはそのままに、下剋上も辞さずの構えで一気に進化を遂げた新型Aクラス。この後に続くFF系ファミリーは従来の4モデルに加え、更にバリエーションが増えるという噂もあります。それらの基準点としてみても充分納得できる仕上がりをみるに、もはやメルセデスのプロダクトにおいては駆動方式云々を問うことさえ古いことなのかもしれません。