80周。ドライバーはいよいよコボだ。この時点ですでに11台のマシンがコース上から姿を消している。松本恵二/中子修組のパナスポーツ日産ターボCが47周で、高橋国光/高橋健二組のアドバン・アルファ962が51周で、そして星野一義/萩原光組のシルビアターボCも63周で、それぞれリタイアしてしまったのだ。
LDクラスからLD2クラスへ登録変更を余儀なくされた直接的原因のAGIP伊太利屋ランチアは、86周めピットで炎上、派手なリタイヤを遂げている。経過タイム約3時間。レースは折り返し点だ。
「まさかボクまで回ってくるハズないよな」と言っていたコボが、否応なくコクピットに縛り付けられる。
「さぁ行け!」Daiをはじめピットクルーは、タイムキーパーのそばに集まった。2分5秒87、2分9秒10…。「2分がなかなか切れないゼ」口をついて出るのはタイムのことだけど、スタッフ全員、内心心配しているのはコボの身の安否だ。これまで木刀の叩き合いしか知らない少年剣士に白刃を持たせ、激戦の修羅場に送り出した親の心境…もちろん、そこまでみんなが胸を痛めていたことを、天性の楽天ドライバー・コボは知らない。
けど、このままじゃヤバい。規定周回数クリアがギリギリだ。20周でピットインさせよう、Daiがホッとしたように決断した。
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というところで、続きは次回その10で! 結果は分かっていても、やはりその過程はワクワク、ドキドキします!!
[OPTION 1985年7月号より]
(Play Back The OPTION by 永光やすの)