【週刊クルマのミライ】ブリヂストンが発明した樹脂とゴムのハイブリッド素材でタイヤはどうなる?

強い素材ということは、減らないタイヤができるということになります。消耗品ビジネスであるタイヤメーカーとしてはロングライフの商品(タイヤ)というのは儲かりづらい商品にもなってしまうと思えます。

そうした点について、先日の発表会で質問したところ、同社・常務執行役員 松田 明さんは「ブリヂストングループの環境宣言は『未来のすべての子どもたちが安心して暮らしていくために…』というものです。たしかに長寿命のタイヤというのはビジネス的には厳しく思えるかもしれませんが、だからといって躊躇しては、持続可能な社会は実現できません」と力強く答えてくれました。

たしかに廃タイヤの処理というのは社会問題になります。あらゆる経済活動は人間社会が続くことが大前提ですから、タイヤの長寿命化は長い目でみればメーカーにとっても目指すべき目標というわけです。また、具体的にはこれからカーシェアリングが広まっていくと予想されています。そうなると各パーツのロングライフ化によるメンテナンスサイクルの延長は求められるところになります。オイル交換などは電動化によって減っていくとして、タイヤのロングライフ化はシェアリング社会と相性のいい進化だといえそうです。

さらにゴムが丈夫になるということは、現在のタイヤよりもゴム使用量を減らせるということですから、タイヤの軽量化にもつながります。すなわち燃費面でポジティブな影響が期待できるのです。

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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