■いまだくすぶるHALO議論
今シーズンから装着が義務付けられたコクピットの保護デバイス、ハロ。皆さん、もう見慣れましたか? 今号の私的一押しコンテンツ「いまだくすぶるHALO議論」では、ハロについて飛び交っているF1界の様々な意見を掲載。その中から面白ったものを、いくつか紹介しますね。
「ハロをいつでも切り落とせるように、マシンに糸ノコを積めばいいのにとさえ思うよ」と話しているのは、元グランプリドライバーであり現在はテレビ解説者を務める、マーティン・ブランドル。
「F1マシンをドライブする時、そしてそのレースを見る時には、多少のリスクを感じるくらいであるべきだ。それがこのスポーツのDNAの基盤なのだから」
このようにハロについて批判的な意見が多い中、FIAのジャン・トッド会長は以下のように語っています。
「15年の12月、私はジェンソン・バトン、セバスチャン・ベッテル、アレックス・ブルツが署名した一通の書簡を受け取った。内容はドライバーの頭部保護の導入を求めるものだった。にもかかわらず、一部の人が『モーターレーシングは本来危険なものであって、事故は起きる時には起きる』と言い出すのを耳にして、私はただ唖然とするばかりだ。また同じような事故が起き、ハロがあれば最悪の事態は防げたはずだと後悔することになったら、一体どんな気持ちになるか想像してみてほしい。こういう子供じみたコメントに反応しようとは思わない。発言の主が誰であれ、こうして導入されたものを公然と批判するのは、まったくもってバカげている」
そして一番気になるのが、「ハロが付いているとドライビング中、邪魔ではないのか」ということ。その答えをフェルナンド・アロンソが答えてくれています。
「ドライビング中は遠くに目の焦点が合っていて、ハロがあるあたりに焦点を合わせることはない。コーナリングでも中央のピラーの右か左を見ているから、これまでのところは何の問題も感じない。むしろ厄介なのは、クルマの乗り降りだよ。特にガレージ内では注意が必要だ。ガレージではクルマのすぐ上に照明や何かのパネルがあって、空間に余裕がないんだ」
クルマの乗り降りについて思わず笑ってしまったのが、ウイリアムズの開発ドライバー、ロバート・クビカの発言でした。
「オーストラリアでの開幕戦がフィニッシュを迎えたら、急いでパルクフェルメへ行くつもりだ。クタクタに疲れたドライバーたちが、どうやってクルマから降りるのかを眺めて、笑わせてもらうためにね。メルボルンはまだいい方かもしれない。だけど、たとえばシンガポールみたいにタフで体力的に厳しいレースでは、みんながクルマから降りる時に、いろいろと面白い光景が見られるんじゃないかな」
さらに続けます。
「ガレージで乗り込む時には小さな踏み台を使えるけど、ガレージ以外の場所で降りるには、ハロの上に立って、そこから飛び降りるしかない。だから、レース後のパルクフェルメでは多くのドライバーがピョンピョン宙を舞っている場面が見られると思うよ」
ネガティブな意見が多いハロで、まさか楽しみを見つけるとは! さすがクビカ先輩です(笑)。なかなかテレビ中継には映し出されないかもしれませんが、決勝終了後のパルクフェルメは要注目ですね。
この他にもドライバーをはじめ様々なF1関係者による意見や、新しいコクピット保護システムの開発について、ハロが付いたことで変わったテクニカルレギュレーションなど興味深い話がたくさんありました。ドライバーの中には「サーキットによってはハロが視界の妨げになりかねない」と主張する人もいたり……。詳しくは本誌をチェックしてみてくださいね!
レースを見てF1速報で復習、さらに最新F1情報を知ることができる。久しぶりのこの流れに、「2018年シーズンが開幕したんだな!」とやっと実感することができました。そうそう、今号には特別綴じ込み付録「GP名シーン&全マシン見せセンターピンナップ」が付いているので、こちらもお見逃しなく!!
(yuri)
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