【F1女子のクルマ基礎講座】グッドイヤー・E-グリップ コンフォートでタイヤ選びのお勉強

F1のことは詳しいけど、乗用車のことはあまりよくわかっていないF1女子のyuri。そんなyuriが一念発起、クルマのあれこれをお勉強することになりました。その一環としてグッドイヤーのニュータイヤ「E-グリップ コンフォート」を教材にタイヤのお勉強をいたしました。

タイヤを教えてくれるのは、クリッカーでもおなじみのモータージャーナリストの諸星陽一さんです。

諸星:さてyuriちゃん、いきなりですが、タイヤ選びで一番大切なのはなんでしょう?

yuri:そうなんです。その基本の基本から教えて下さい。

諸星:まず大切なのはサイズだよね。基本的には今使っているサイズと同じサイズのタイヤを選ぶことが大切。少し幅を広げたりすることはあるけど、基本は同じサイズで選ぶことになる。インチアップといって、今の状態よりも薄いタイヤを選ぶこともあるけど、これはドレスアップやチューンアップのジャンルになるね。

yuri:タイヤのサイズってどうやって見るのですか?

諸星:それはタイヤのサイドウォール、つまり外から見える場所に書いてあるんだ。今回のタイヤだと225/50R18 93Wという数字が書かれているね。

yuri:この数字はなにを示しているのですか?

諸星:規格的に正確な表現じゃないけど、わかりやすく説明するね。225というのはタイヤの幅で約225mmという意味。次の50はタイヤの高さでこれは幅に対する割合、つまりパーセントで表されている。幅が225mmだからその50%、約112.5mmの高さということになる。Rはラジアル構造であることを示している。今のタイヤはほとんどがラジアルだから、これはあまり意識しなくていい。
18はホイールのサイズ、つまりタイヤの内径。93というのはロードインデックス、荷重指数といってそのタイヤが1本で何kgを支えられるかの数字、ただしこれは指数なので93kgというわけじゃない。最後のWは速度記号でWだと270km/hまで対応していることを示している。
それと、“X5217”って書いてあるのは、2017年の52週目に製造されたということ。あまりに古いタイヤは敬遠したいからね。

yuri:すごくいろんなことがわかるんですね。

諸星:そうだね。でも普通はタイヤショップに行って、「同じサイズのタイヤを下さい」って言えば大丈夫。

yuri:なるほど! でもタイヤといってもいろいろな種類がありますよね。

諸星:そう。タイヤメーカーだけでもたくさんあるし、ブランドまで考えればかなりの数になりますね。だから、ある程度は自分の欲しいタイヤの方向性は考えたほうがいい。最低でも何を重視するのかは決めておく必要がある。たとえばグリップを重視するのか、静粛性を重視するのか、燃費を重視するのか? といったことです。重視する項目を決めたら、それに該当するタイヤを何種類か比較するのがいいでしょう。

yuri:今回、試乗している「グッドイヤー・E-グリップ コンフォート」はどんなタイヤなのですか?

諸星:「E-グリップ コンフォート」は静かで乗り心地がいいことが特徴のタイヤです。ですので、レガシィのようなセダンとのマッチングはいいタイヤということになりますね。ほかのメーカーからも同様のねらいを持ったタイヤが発売されていますので、価格なども考慮してタイヤを選ぶことになります。

 

yuri:でも、いくら乗り心地がよくても燃費や雨の日のブレーキ性能が悪かったら、ちょっといやですよね。

諸星:そうなんだ。燃費や雨の日の安全性を重視する人はすごく多いんだよね。そこで、日本ではタイヤラベリング制度というものがあって、夏タイヤについては、転がり抵抗が6段階(AAA~Cとそれ以外)とウエットグリップ性能が5段階(a~dとそれ以外)で表示されているんだ。この「E-グリップ コンフォート」の225/50R18 93Wの場合は、転がり抵抗が上から2段階のAA、ウエットグリップ性能が3段階目のbの評価を受けているんだよ。転がり抵抗がA以上で、ウエットグリップ性能がa~dの間に収まると、低燃費タイヤのマークも付けられるんだ。

yuri:なるほど。転がり抵抗とウエットグリップ性能については、そのラベリングがかなり参考になりますね。静かさとか乗り心地とかはどうすれば情報が手に入るんですか?

諸星:残念ながらラベリング制度みたいなものがないから、ボクらがテストした記事とかで知ってもらう意外にはないんだ。摩耗などについてはラベリング制度をまとめているタイヤ公正取引公正協議会というところのホームページに一部が掲載されているのでそれを参考にすることはできる。ただし、ラベリングのようにすべてのサイズでテストを行っているのではなくて、代表的なサイズでのテスト結果なんだよ。

yuri:諸星さんたちはどうやってチェックしているのですか?

諸星:タイヤメーカーではサーキットのタイムや各種計測器などを使ったテストをしているけど、ボクらが普通に行うテストはフィーリングチェックになる。その場合は、ノー-マルタイやと比べたり、あとは今までの記憶と比較したりという感じ。場合によってはサーキットやテストコースでの試乗もあるから、そういうときは限界のときにどういう動きをするかなどをチェックしているんだ。

yuri:普段の試乗では限界チェックができないんですね。でも、それで大丈夫なんですか?

諸星:限界性能についてはメーカーでテストをしていて、市場に発売されているから安心していいんじゃないかな。クルマそのものだって、ボクらが全部を限界性能チェックしているわけじゃないしね。それと限界性能で大切なのは、どういう風に限界が表れるか?なんだ。たとえばコーナーで限界を迎えるときに、急にグリップしなくなって滑り出すのか、ジワジワと限界に近づいていくのか? とかね。普段使いをするなら、限界そのものは低くても、ジワジワきたほうが安全でしょ?

yuri:なるほど、奥が深いんですね。

諸星:そうだね。yuriちゃんも、このあとこのタイヤを試乗して、感想を書いてみてね。

yuri:自信はないけど、がんばりまーす!

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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