フロントの丸型ランプと小さなリアランプは、このクルマが経済車であることを提示。そして、フロントグリル、ランプ枠、バンパー、モール、リアルーバーなどボディのパーツの大半を黒で統一。「ブラックトーン」として、シンプルなボディをよりシャープに演出します。
ボディパネルをそのまま生かしたインテリアは、シンプルながらセンスを感じるもの。トレイタイプのインパネは開放感を与えつつ、操作部分を集中させて高い機能性をアピールします。
本質的な経済車として不要なモノは外すけれど、決して貧相にならない。従来とまったく異なる価値観は、クイント・インテグラやワンダーシビックを手掛けた在間浩氏のスケッチを軸に、若手のデザインチームが展開したといいます。
「低く、長く、幅広く」は虚像と言い切り、まったく新しい商品を作って市場自体を提案する。最新技術や便利さだけにとどまらない、本当の意味で豊かなクルマ作りが、初代シティの現場にはあったのかもしれません。
●主要諸元 ホンダ シティ R(5MT)
形式 E-AA
全長3380mm×全幅1570mm×全高1470mm
車両重量 665kg
ホイールベース 2220mm
エンジン 1231cc 直列4気筒OHC12バルブ
出力 67ps/5500rpm 10.0kg-m/3500rpm
(すぎもと たかよし)