【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第32回・「低く、長く、幅広く」を疑え! ホンダ シティ(初代)

フロントの丸型ランプと小さなリアランプは、このクルマが経済車であることを提示。そして、フロントグリル、ランプ枠、バンパー、モール、リアルーバーなどボディのパーツの大半を黒で統一。「ブラックトーン」として、シンプルなボディをよりシャープに演出します。

ボディパネルをそのまま生かしたインテリアは、シンプルながらセンスを感じるもの。トレイタイプのインパネは開放感を与えつつ、操作部分を集中させて高い機能性をアピールします。

本質的な経済車として不要なモノは外すけれど、決して貧相にならない。従来とまったく異なる価値観は、クイント・インテグラやワンダーシビックを手掛けた在間浩氏のスケッチを軸に、若手のデザインチームが展開したといいます。

「低く、長く、幅広く」は虚像と言い切り、まったく新しい商品を作って市場自体を提案する。最新技術や便利さだけにとどまらない、本当の意味で豊かなクルマ作りが、初代シティの現場にはあったのかもしれません。

●主要諸元 ホンダ シティ R(5MT)
形式 E-AA
全長3380mm×全幅1570mm×全高1470mm
車両重量 665kg
ホイールベース 2220mm
エンジン 1231cc 直列4気筒OHC12バルブ
出力 67ps/5500rpm 10.0kg-m/3500rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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