【スズキ・スペーシア&スペーシアカスタム試乗】自然吸気でも十分に力強い走りが可能。10秒間のモータークリープ走行もできるようになった

ワゴンRと共通のプラットフォームを与えられ、ホイールベースを延長。自然吸気もターボもISGと呼ばれる発電機能付きモーターをプラスしたマイルドハイブリッドシステムを採用した新型スズキ・スペーシア&スペーシアカスタム。

今回のマイルドハイブリッドは10秒間のモータークリープ走行が可能になっています。停止状態からブレーキを緩めるとモーターを使ってのクリープ走行が始まり、10秒以上、もしくはアクセルを踏むとエンジンが始動してエンジン走行となるのですが、引き続きモーターがアシストするのでスムーズでありながら力強い印象を受けます。

自然吸気エンジンでも十分に力強く、普通に使うなら十分な性能を感じます。ターボはさらに力強く、スポーツ性も感じるエンジンに仕上げられています。

 

さらにステアリングに装着されたパワーボタンを押すことで、モーターのトルクをアップして加速を強めます。ただ、このパワーボタンによるトルクアップは、モーターのトルクをアップさせるものなので、40~60km/h程度のアクセル一定でスイッチを押すと力強くなった印象を受けますが、全開加速中はあまり変化を感じません。

ブレーキング時に減速していくと、クルマが完全に停止する前(約10km/h)にエンジンが停止しアイドリングストップ状態となり燃費を稼ぐセッティングですが、その手前の20km/hくらいまで減速した際に一度減速感がなくなり、スッと前に出ることがありました。ここは減速感を維持してもらいたいものです。

乗り心地は軽スーパーハイトワゴンとしては十分なレベルを確保しているという印象です。コーナリングの安定感も不安がないレベルに達しています。ただリヤシートは少し突き上げ感が強いようです。

スペーシアは各グレードに「衝突軽減ブレーキ非装着車」が用意されています。「衝突軽減ブレーキ」はデュアルセンサーブレーキサポートや車線逸脱防止機構、後退時ブレーキサポートなど人間のミスをカバーしてくれる重要な機構ですが、「衝突軽減ブレーキ非装着車」を選ぶことで5万9400円を節約できるようになっています。ただ、少し販売台数が減ったとしても全車標準装着とするべきだったと思います。また、ライバルとなるNボックスが採用したACCはスペーシアには装備されませんでした。

(文:諸星陽一/写真:前田惠介)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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