東京オートサロン2018で公開された、注目度満点のTOYOTA GAZOO Racingの「GRスーパースポーツコンセプト」を眺めていると、GR開発統括部 ZRチーフエンジニアという肩書きをもつ古場博之さんにお話をうかがうことができました。
技術トピックスを3つあげていただきました。まずは「熱効率50%」という驚異的な高効率ユニットである点です。
ル・マン参戦車のユニットを使い実現するとしている「熱効率50%」は、火力発電所を使って生み出されたピュアEVと同等。
プリウス、カムリが熱効率41%ですからこれは驚異的で、市販化するにはまだ開発の難しさ(排ガス規制をクリアするために触媒付けて、排圧が上がっても使えるように)があるそうです。なお、レースの世界(アクセルのオン、オフ)であればこの熱効率はかなりできているとのこと。
2つ目はハイブリッドの技術。「THSⅡ」と比べて短時間で大電流をバッテリーに貯められるようになったのが大きいそうで、それをモーターのブーストとして出せるようになったこと。ただし、バッテリーに入出力する技術、ブレーキのコントロール性(回生の緻密な制御)を「手の内化」するのも2つめの技術だそうです。
3つ目は、クルマ作りのプロセス。レースの世界では以前よりも時間短縮が求められるため、シミュレータをフル活用し、企画段階から(昨年4月設立のガズーレーシングカンパニー)短時間でここまで到達したとのこと。
「GRスーパースポーツコンセプト」の今後に関しては「市販を目指して開発」しているそうです。今までのトヨタでは、こうしたコンセプトカーを出すのは壁があったそうで、今回実現したのは「ガズーレーシングカンパニー」という組織ができたからこそと強調されていました。
最後に、世界的な「EVシフト」に対してどう対応する? とお伺いすると、EVと同じような熱効率を持ちながら、ガソリンを入れればEVのように充電待ちもなくすぐに走り出せるなど、ユーザーニーズに高い次元で応えられるとしています。
(塚田勝弘)