さて実際に走ってみよう。テストコースである「サーキット・モンテブランコ」は、F1マシンのテスト走行にも使用されている観客席のない本格的コースで、ハイスピードコーナーとテクニカルコーナーをミックスしたタイヤにとっても負荷の大きなコースである。
プレミアムコンタクトという名前なのに本格的なサーキットでのプレス試乗会というのは意外だった。コンフォート重視なのかスポーツタイヤなのかすべての試乗が終わらないとわからない。
印象に残ったのはBMW640dxでの走行だった。新しいプレミアムコンタクト6だけでなく、比較としてコンチスポーツコンタクト5も乗れたのだが、明らかにスポーティな走りをしたのはプレミアムコンタクト6だった。
ホームストレッチで車線変更したときもより小さなハンドル角で目標場所に行けるし、より正確な反応なので扱いやすかった。コーナリングもグリップが強く安心感が高いだけでなく、スピードも速い。パイロンを並べてスラロームも設定してあったが、ここでスピードを上げていっても応答遅れがなく、最後までしっかりとノーズの向きを変えることができた。
第一コーナーでのフルブレーキングも重量級の6シリーズを強いグリップで受け止めていたので、プレミアムコンタクト6の余力を感じることができた。
もっとコンパクトなスポーツモデルでも走ることができた。ゴルフGTI、メガーヌRS、スバルWRXSTIでもサーキットを思い切り攻めた走りを試すことができた。エンジンパワーに負けないプレミアムコンタクト6のグリップは、クルマが軽くなったように感じる。
その理由は応答性だ。応答遅れすることなくシャープな反応だから、ノーズを思い通りのラインに乗せやすいのだ。このサーキットは舗装路面が粗いのでタイヤのダメージが心配になったが、多少ゴムが溶けた感じには見えるものの磨耗状態は綺麗だった。名前から想像できない良い走りができるタイヤだった。
プレミアムコンタクト6という名前にふさわしいモデル、メルセデスベンツE220dでは一般道を走ることができた。これは振動・乗り心地、騒音のチェックのためだ。
「サーキット・モンテブランコ」付近の一般道は都合よく舗装が荒れた道が多くテスト走行には適していた。ここでは低周波のロードノイズがほとんど聞こえず、室内は快適な環境を保てる。さらに舗装が綺麗な路面でのパターンノイズも極めて小さく、シャー音もほとんど聞こえてこない。また凸凹路面でもトレッド面の「いなし」がうまいのか、角がある振動が伝わってくることはなくとても快適だ。
サーキットでのハイスピード走行でも正確な応答性としっかりしたグリップで高い安心感があり、コンパクトスポーツカーではエンジンパワーに負けない強いグリップを持って軽快な走りができ、プレミアムコンタクトという名前にふさわしい静粛性と快適性を兼ね備えているタイヤだった。
二律背反と思われていたグリップとコンフォートを、両立させられることを証明したのがコンチネンタルの新しいプレミアムコンタクト6だった。欧州のカーメーカーに続々とOEM納入が決まっているというから、いま注目に値するタイヤだ。
(菰田 潔)