充実した装備とファストバック化で得たユーティリティ向上【プジョー508試乗】

●プジョーの最上級モデルらしい装備とユーティリティ

従来のノッチバックスタイルからハッチバックスタイルとなった新型プジョー508は、充実した装備とボディタイプ変更によるユーティリティアップが大きな魅力となっています。

まずは508の価格です。508に1.6リットルのガソリンターボエンジンと2リットルのディールターボエンジンの2種が用意されます。ガソリンターボはベーシックモデルのアリュールと上級のGTライン、ディーゼルターボは上級のGT、計3種のモデルが用意されます。

GTとGTラインの装備は基本同一で、GTラインはシートがファブリック&ティップレザーのパワー、GTが運転席メモリー付きアルカンターラ&レザーのパワーとなるほか、アルミペダルの有無、メーター関連、デザイン違いのアルミホイールが採用される程度の差です。

現代のクルマに求められる走行関連機能であるアクティブクルーズコントロール(ストップ&ゴー機能付)、アクティブブラインドスポットモニターシステム、レーンポジショニングアシスト、レーンキープアシスト、アクティブセーフティブレーキ(被害軽減ブレーキ)、ディスタンスアラートなどは全車に標準装備されます。さらにGTラインとGTではナイトビジョン、フルパークアシスト、フロントカメラ付き360度ビジョンがナッパレザーシートとパノラミックサンルーフとともに65万円でオプション装着可能です。

クルーズコントロールは約0~180km/hで作動。アクティブセーフティブレーキの作動範囲は約5~140km/hで、約80km/hでは停止車両を約60km/h以下では歩行者を感知します。ナイトビジョンは赤外線カメラによって最大200m先の見えにくい歩行者や大型動物を映像化しヘッドアップディスプレイに表示し注意勧告をするシステム。フルパークアシストは車庫入れはもちろん、ステアリング、シフトチェンジ、アクセル、ブレーキのすべての操作がアシストされます。

オーディオは8インチタッチスクリーンが標準装備で、SDナビゲーションとETC2.0、テレビチューナーも標準です。さらにApple CarPlayにもAndroid Autoにも対応します。またGTラインとGTにはフォーカルのプレミアムHiFiシステムも装備となります。

ラゲッジ容量は定員乗車時で487リットルで、リヤシートは6対4分割方式を採っています。リヤシートを左右ともに倒した場合の最大容量は1537リットルと、セダン時代の先代508に比べて156リットルも拡大され、実用性が高められています。

基本装備の充実さを考えると500万円以下、とくにアリュールの417万円は買い得感があります。ただ、ナイトビジョンを装着するのにほかの装備とセットとなり、その価格が65万円というのはちょっと考えもの。

安全装備はほかの安全装備とのセットならまだしも、サンルーフなどとセットではなく、単独で選べるようにすることが大切だと考えます。

(文・諸星陽一/写真・前田恵介)

 

この記事の著者

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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