エンジン、トランスミッション、シャーシなどから、産業機械分野向けの軸受などを手がけているドイツのグローバルサプライヤーであるシェフラー。2017年のフランクフルトモーターショーにおいて新しいドライブシステムを披露しました。
まず、すでに量産がスタートしているという第2世代のサーマルマネジメントモジュールは、エンジンやトランスミッション、その他の電気駆動の冷却回路を制御し、必要に応じてバッテリーの冷却回路も制御するシステム。
現在でもクルマにとって厳しい状況であるエンジン始動時に全冷却回路を完全に停止させ、個々のシステムの加熱を加速させることができるのが特徴です。モジュールが回路を管理することで、車内温度の運転状況や熱条件に応じた体系的な制御が可能になるそう。
サーマルマネジメントモジュールに採用されているアクチュエーターは、エンジンの機能性や耐用年数にも影響を与えるそうで、同社では、要件に合わせたモジュールキットを開発。このサーマルマネジメントモジュールを活用することにより、新欧州ドライビングサイクル(NEDC)試験でも3%の燃費節約を実現が検証されたとのこと。このサーマルマネジメントモジュールは、外気温が低いコールドスタート後でさらに威力を発揮します。
また、電動バルブタイミング可変装置を開発し、量産化にも成功しているそうです。この可変技術は燃費向上に貢献し、低荷重の運転状況で気筒を1つ以上休止させるシステムにより実現します。気筒休止させると、稼働したままの気筒がより効率的な負荷領域で作動します。
シェフラーが開発した油圧式スイッチャブルバルブタペットにより、個別に気筒の休止が可能になり、2018年には、同システムを利用した最初の3気筒エン ジンの量産を開始。
さらに、遠心振り子式アブソーバー搭載デュアルマスフライホイールも同社により開発され、NVH(騒音、振動、ハーシュネス)において、一時的に2気筒稼働状態になっても悪影響を受けないようにすることが可能だそう。
ほかにも48Vマイルドハイブリッドシステム、高電圧ハイブリッドモジュールなどに取り組んでいるシェフラー。EVシフトが進む将来に備えるだけでなく、2030年でも2/3が内燃機関を搭載している(ハイブリッド、PHVなど)シナリオを想定し、引き続き内燃機関の排出量削減に取り組むと表明しています。
(塚田勝弘)