【ワークスチューニング試乗会】トヨタ・ミニバン軍団の走りをグッと引き締めるTRDのチューニングメニュー

さて、せっかくの群サイですから気になるのは走りのレベルアップ。エスクァイアのチューニングは、ドアスタビライザー&ブレースセットと純正形状のTRDスポルティーボサスペンション、そしてオリジナルホイールにグッドイヤーのイーグルRV-F(205/50R17)を履いているといった内容になっています。

まず、注目はドアスタビライザー&ブレースセットでしょう。もともとボディ剛性には関係のないドアですが、ストライカー部にスライド式のパーツを入れることで隙間を埋め、ボディのねじりなどに対して、ドアを剛性アップの補強として利用するのがドアスタビライザーの役割です。このパーツが有効なのは知られているところですが、スライドドアのミニバンでは効果が出づらい面もあるそうです。そこで、フロントドアにはドアスタビライザーを装着する一方、スライドドアの剛性アップにつながるブレース(スチール製の補強パーツ)をセット装着することでボディ全体を引き締めることが期待できるのです。

その効果は群サイという厳しいコースだからこそ、はっきりと伝わってきます。横Gの続く長いコーナリングや左右に切り返すようなシチュエーションにおいてミニバンとは思えない安心感があります。サスペンションによってロール剛性も高まっているので、車高ダウン以上に重心高を下げたかのような錯覚に陥るほど、走りは別物です。

ただし、ペースアップしていくとダンパーの容量不足なのか跳ねるような動きが出てきます。日常的な速度域での乗り心地を重視(群サイでも快適性に不満は感じないほど)したサスペンションなので両立は難しいのかもしれませんが、スポーティ方向の味付けもレベルアップしていると満足度はさらに上がりそう。もっとも、おそらくほとんどのワインディングでは制限速度オーバーの領域での話ですけれども。

(写真・文:山本晋也)

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この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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