【ネオ・クラシックカー グッドデザイン太鼓判!】第10回・デザインの基本を貫いた高速セダン。日産・プリメーラ(初代)

面一化されたフロントフェイスに対し、従来の日本車にはない立体感を持つリアランプがボディ後端を引き締めます。後に追加される5ドアでは、より魅力的なリアビューを見せました。

インテリアは、インパネやステアリング、ドア内張りなど、すべてに中身が詰まったような骨太感があり、道具としての合理性をも感じさせます。

後に評論家として活躍した、故・前澤義雄氏をリーダーとするデザインチームは、クルマを部品などのディテールで見せることを意識的に避け、全体のカタマリを重視したといいます。

造形の基本を妥協なく積み上げることで、そこに新しさや個性が生まれる。そんな高い志は、30年も前にユーザーに理解されてヒット作となりました。それは、現在の自動車デザインへの大きな提言なのかもしれません。

●主要諸元 日産プリメーラ 2.0Te(4AT)
型式 E-HP10
全長4400mm×全幅1695mm×全高1385mm
車両重量 1200kg
ホイールベース 2550mm
エンジン 1998cc 4気筒DOHC16バルブ
出力 150ps/6400rpm 19.0kg-m/4800rpm

(すぎもと たかよし)

この記事の著者

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すぎもと たかよし

東京都下の某大学に勤務する「サラリーマン自動車ライター」。大学では美術科で日本画を専攻、車も最初から興味を持ったのは中身よりもとにかくデザイン。自動車メディアではデザインの記事が少ない、じゃあ自分で書いてしまおうと、いつの間にかライターに。
現役サラリーマンとして、ユーザー目線のニュートラルな視点が身上。「デザインは好き嫌いの前に質の問題がある」がモットー。空いた時間は社会人バンドでドラムを叩き、そして美味しい珈琲を探して旅に。愛車は真っ赤ないすゞFFジェミニ・イルムシャー。
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