■最後はソフト!
さらに南下し、旅の終わりに立ち寄ったのは、はくいちカフェ。
他の工芸品の部品として供給するために作られていた地場産業の金箔を、金沢の伝統工芸として知らしめたブランド「箔一」が手がけるカフェです。こちらは「金箔のかがやきソフトクリーム」。
カフェの店員さんが、切紙に挟まれた金箔を大事にピラリと持ち上げて、ソフトクリームに貼り付けてくれます。
エアコンの風にも揺れ、ソフトクリームの微妙な凹凸を如実に浮き上がらせるその薄さたるや!あまりに薄くて食べてもよくわからない。でも気分はお大尽。加賀百万石の時代から受け継がれる技術の文化を、文字どおり味わえるすごいメニューです。
あとですね、特筆すべきことにソフト部分が大変美味しい! 必食です。
■CX-5の日本的な美意識とはなんだったのか
ソフトおいしかった…というわけのわからない感想で終わった旅。
しかし2日間を通して、日本の美しさとCX-5を様々な角度から楽しみました。
CX-5それ自体が日本的であるかどうかは、正直なところよくわかりません。例えばヨーロッパの街並みにも、オーストラリアの赤い大地でも、東南アジアの濃い緑にも、このクルマは無理なく合いそうな気もするからです。また「これって和風でしょ?」と表立ってアピールするような押し付けがましさも感じませんでした。
ただ、自然であったり、人の暮らしであったり、工芸品であったり。日本の風土が育んできた、感覚や価値観。削ぎ落とされて、それゆえに豊かであること。理に反しないことの強さ。美しい日本の風景の中でクルマを観察してみて、そういったことを感じました。
CX-5の中の「日本」は、ディテールとして反映されているのではなく、エネルギーのように、あるいは気配のように、全体を満たしているものなのかもしれませんね。
多層的な意味で、やっぱり日本のエッセンスを感じさせるクルマなのかなぁ……。オリジナルな日本が色濃く残る能登半島を走って考えたのは、そんなことでした。
(文:くぼきひろこ/写真:ダン・アオキ)
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